あくまでも管理人七菜子のおすすめです。

まれに更新しますが、書ききれない量なので氷山の一角ですが。


[おすすめ読書]




「魔術はささやく」宮部みゆき著。
 いわずとしれたベストセラー作家の初期作品。母を亡くして親戚に引き取られた日下守。父親は公金横領をして失踪した。そんな彼には友人の「じいちゃん」から教えられた特殊な特技があったーーーー。
 一見無関係な若い女性の事故死が続き、その中で守の親戚が巻き込まれ、知らず知らず事故死の真相に近づく守の後ろで名乗り出てきたのは・・・・。
 宮部作品の特徴ともいうべき、中世的で透明感のある主人公とサスペンスミステリの切り口は必見。


「龍は眠る」宮部みゆき著。
 雑誌ライター高坂は台風の中、一人のヒッチハイカーの少年を拾った。その矢先、何故かあけられた排水溝のマンホールに子供が落ちて事故死する。
 拾った少年が不審な動きをみせ、もしや犯人では?と疑った高坂に、少年は告げたーーーー「僕はサイキックなんです」。ペテンだと証明するために奔走する高坂だが、やがて大きな事件に巻き込まれ、「サイキック能力者」が事件の鍵を握ることに。
 宮部みゆきが得意とする超能力ものの処女作。透明感のある少年の魅力がここでも光る。


「火車」宮部みゆき著
 捜査中の事故で怪我をして休職中の刑事、本間のもとに失踪した婚約者を探してほしいと依頼がきた。リハビリがてら、ただの恋愛のもつれだと思ってはじめた捜索は、捜索ターゲットが偽名で生活していたことから一転した。
 クレジット破産など現代の落とし穴を描く社会派作品。”次の女”に彼女が入れ替わる前に、本間は見つけ出せるのかーーーー。


「模倣犯」宮部みゆき著
 連続殺人事件が相次ぐ中、犯人の声明文が届く。警察、被害者家族、ルポライター、そして被害者、犯人からストーリーをめぐる二部作。容赦のない展開にご注意を。
 人の心の闇をえぐりだす、渾身の一作品。


「ブレイブ・ストーリー」宮部みゆき著
 ゲーマーを自称する宮部ならではの、ゲームファンタジー背景に、現代の歪みに苦しむ少年たちを描く、現代とパラレルワールドを行き来する物語。「夢にも思わない」などの緒方・島崎コンビや読みきりでも離婚問題を書いているがかなりのシビア・リアルな展開を見せて、子供と大人の世界を書ききる。
 勇者となったワタルが長い冒険の先に掴み取った答えは、「辛いことがあるたびに運命の女神さまにお願いして運命を変えてもらうわけにはいかない」という現実だった。
 宮部作品の映像化は原作と比較すると失敗作が多いが、この作品のアニメ化はかろうじて唯一の成功作といえなくもない。ただし原作を読まないと足りない感はある。


・他の宮部作品お勧め「レベル7」「ステップファザー・ステップ」「クロスファイア」「ぼんくら」「ひぐらし」「震える岩」「我が隣人の犯罪」「夜も眠れない」など。



「死神の精度」伊坂幸太郎著。
 今や失速気味な作品が多いが、これは初期の良作品。非常にクセのある作家。まず入ってみるならこの本がベスト。伊坂作品の癖もライトで、タイトルよりあたたかなストーリー展開。
 死期の迫った人間の査定にくる死神が主人公となり話の軸になっている。


「重力ピエロ」伊坂幸太郎著。
 一番伊坂作品の中で名言が多いのがこの作品。伊坂作品は過去他の話に出てきたキャラが脇役として活躍する、いわば伊坂シリーズルールがあるが、ここにも実に多彩なキャラが織り込まれている。
 主人公の泉水(いずみ)と、弟の春(はる)。春の出生には多くの暗い過去が絡んでいたーーーー。
 「春が二階から降りてきた」の冒頭から、伊坂の癖が好きな人間にはたまらない魅力。映画もつっこみどころはあるも完成度は高い。


「砂漠」伊坂幸太郎著。
 大学生になった僕、北村と、ありふれているようで違う大学生生活を主軸に始まる学生物語。世間からはダサくてみっともない、上に空気をよまない、本来は嫌われ役になるはずの西嶋の「その気になれば砂漠に雪を降らせることもできるんです」その一言で、彼らは変わったりーーーしたりすることは、あったりなかったり。
 それでも、読んだあとなにか救われた気分になれる一冊。


・他にもお勧めの伊坂作品「陽気なギャングが地球を回す」「チルドレン」「終末のフール」など。


「十二国記」小野不由美著。
 異世界ファンタジーものというと安易なものが多いが、これだけシビアな設定も少ない。十二の国の王と、王を選ぶ麒麟という神獣。各国ごとに本は出ているがシリーズの要は現代から十二国につれてこられた陽子が主軸となっている。
”生きる”とはどういうことか。自らを問う、異色のファンタジーシリーズ。


「ゴーストハント」小野不由美著。
 コミック化、アニメ化済み。コミックはかなり原作に忠実で手軽に手を出すにはお勧め。原作自体はかなり古いので今復刻版が続々とでている。
 もとはホワイトハート出身だが、子供向けとあなどれない恐怖感。純粋に霊を肯定するのではなく科学的な検証なども多く入っているので、ありふれた霊能力ものとは一線を画している。


「屍鬼」小野不由美著。
 難をいうと田舎の集落が舞台の為、苗字や一族が覚えにくい(ほどキャラクターが出てくる)が、名前の通り”起き上がり”をテーマに、小野不由美らしくシビアな点をリアリティの全てで追求していく。
 村には死がたちこめ、屍鬼と接触する僧侶の静信と、身内を実験に使ってでも対抗する尾崎医院の敏夫(このキャラクターがゴーストハントのナルに通じる)とが、協力しつつ逆の方向に分かれていく。
 また、死というテーマに究極の選択を迫られる村人たちひとりひとりに、人間というものが色濃く書き込まれた一作。
 これもまたアニメ化コミック化をたどっているが個人的には却下。



「創竜伝」田中芳樹著。
 始、続、終、余の竜堂四兄弟は実は四海竜王の転生した姿だったーーー。爽快なアクションとして娯楽大作。ネーミングから作者は遊んでいるが、超人的な破壊力を持つ兄弟が権力者にその力を狙われて、痛快に叩きのめす。
 東京ドーム、都庁から始まって、アメリカ軍基地、ロンドン橋、フェアリーランド(あきらかにディズニーを揶揄っている)など、日本のみならずアメリカ、中国までその破壊力はとどまるところをしらない。
 水爆が落ちても死なない兄弟に、汚職政治家や汚職財閥を痛快にやっつけてもらいたい願望のある方は是非一読を。挿絵は天野版とクランプ版とどちらも豪華イラストレーター。



「アルスラーン戦記」田中芳樹著。
 中世ペルシャをモデルにした異世界戦記もの。王大子アルスラーンを筆頭に、黒の最強の騎士ダリューン、知恵者ナルサスなどの本格的戦記もの。
 創竜伝と共に長らく止まっているが、作者は遅筆なりに書き上げる気はある模様。


「薬師寺涼子の事件簿」田中芳樹著。
 現代警察ものーーーというにはくくれない。タイトルの涼子は20代で警視のエリート組、語り手の泉田警部補はノンキャリ組。ドラキュラも避けて通る、通称ドラよけお涼とよばれる見た目は絶世の美女、口を開くと毒舌な女王様な彼女に、語り手の泉田くんは自覚こそないがイケメン長身で剣道もできるなかなかのいい男なのだが、
 お涼のお供に振り回されていると必ず怪奇事件に出会うのだった。一作目の「摩天楼」は実に良かったが、後半お涼がやりすぎ感。
 アニメ化コミック化しており、アニメでは泉田くんは木内さんがCV


・田中芳樹のお勧めもの「銀河英雄伝説」(一番堅実なスペースオペラ)「来夢と耕平シリーズ」、「紅塵」など。中国歴史には深い造詣があり隋唐演義なども。
 ただし、この作者は書き散らしてニューシリーズで完結ものが少ないのがネック。



「図書館戦争」有川浩著。
 未来の時代、読書の自由が国に取り上げられ、自由な閲覧は図書館のみーーー。本を守るための図書隊に入った主人公と、本を廃棄するメディア良化隊の戦いと、ラブコメ満載の異色本。
 差別や表現の自由に関して作者の言いたいことが盛り込まれており、更に軍事マニアの作者有川がとうとう自分で隊を作ってしまった人気ノベル。
 突っ込みの歯切れのよさと恋愛のベタ甘の天才で、分厚いながら読者の支持層は多い。アニメ化済み。実写化は決まっているが管理人は見ない方向で。


「海の底」有川浩著。
 突如海の中から巨大ザリガニが襲撃ーーーー。幼少期、円谷作品の本を破けるまで読んだ作者が「塩の街」のデビューに続き、トンデモ生物を発生させる。しかし、機動隊、警察本部、軍事基地などのリアルな展開と、危機とで目が離せない一作。
 作品は、基地祭を見に来ていた子供たちが潜水艦に逃げ込み、子供らと命の引き換えに艦長を失った若きエリート三尉二人たちと、現場とで話が回るが、高い緊張感が非日常の設定をうまく盛り上げており、秀逸。


「空の中」有川浩著。
 陸、海、空の3自衛隊ものと呼ばれるこちらは空パート第一弾。やはりありえな生物と人類との戦いだが、イーグルパイロットと光希と、設計者春名の大人な(?)恋愛も入ったパートと、パイロットの父を失った高校生、瞬たちと2つの恋愛と人類危機についてめぐる。
 ふんだんに航空自衛隊の話が盛り込まれており、テンポのよさなど有川作品らしさが光る。


「植物図鑑」有川浩著。
 特殊なヒロインが多くなりがちな有川作品の中でもっともスタンダードな恋愛パートが、野草と共に魅力をふりまく。作者は「美少女落ちもの」(ラピュタのシータが具体例)のように、女の子の前にイケメンが落ちてきてもいいじゃないか!と事情ありのイケメンを拾ったお話。
 料理上手でハウスキーパーな彼にほれ込みこと必至。作品と共に四季をめでて、「雑草という草はない。全ての草には名前がある」という概念で図鑑をお供に、散歩などもしたくなる一作。


「阪急列車」有川浩著。
 駅ごとにひとつのお話を作って続いていく、ハートウォーミングな作品。名前通り、阪急電鉄の駅が使われています。それぞれ駅ごとにキャラクターが事情を抱えながら往路で終点を迎える物語。
 この作者の凄みは、色々な年代をリアルにかけること。切れ味は常に抜群。


・有川浩のお勧めもの「フリーター家を買う」「塩の街」、「三匹のおっさん」「三匹のおっさんふたたび」「シアター!」「ヒア・カムズ・サン」(共同もの)「レインツリーの国」(図書館戦争から)、「県庁おもてなし課」(思い切り郷土の高知アピール貢献)「空飛ぶ広報課」(空自もの2)「クジラの彼」(海の底、空の中の続編も)など。
ライトノベルと小説の真ん中と言ってもいい空気で、若い層が手にとりやすいのと、雑誌ダヴィンチで女性お勧め恋愛小説の1位から10位全て独占の恋愛もの女王。




「うぶめの夏」(←本当は漢字です)京極夏彦著。
 関・中禅寺・榎木津などのメンバーが揃う一作目。シリーズでどうぞ。ただし、明治が舞台なのと京極美学にて、漢字が氾濫して分厚い小説です。その漢字がたまらん!という管理人の感覚がないと苦しいマニア小説。
 そして、精神的に安定しているときに読むのをお勧めします、作品に呑まれて感覚が狂います。そのくらい色々とヤバい世界です。特にもっとも鬱な作品。
 比較的マシなのが「鉄鼠の檻」。探偵榎木津が暴走しているのでだいぶ狂気が薄れます。榎木津ファンになった方は「百器徒然袋」シリーズを。



・京極作品のお勧め。お岩怪談などの京極解釈ものなど、幅は妖怪だけにとどまらず、案外広いです。しかし、本タイトルがほぼ変換大変で書く元気を盗まれました。すいません。
とにかくアクが強すぎるので、ためしに一冊読み、もしくは借りるのがベストです。好き嫌いは分かれると思います。
個人的には好きですが、読んでると重くて手が疲れるのが難なのと、ナルシスト京極が作中の黒衣の男にほぼ自分の名前をつけているのが少し痛いかと。



「ボーン・コレクター」ジェフリー・ディーヴァー著。
 ライム&サックスシリーズ第一弾。現役海外ミステリ作家の中でもトップクラス。現場検証に重きを置いた”鑑札”系サスペンスだが、天才的な頭脳を持つライムは気難しい上に事故で指一本しか動かせずベッドでの生活。反してサックスは元モデルの美人警察官だが、警察官としては下っ端。この二人がコンビを組んでサックスが”検証”ライムが”解決”
 という分担を主にして「石の猿」「ウォッチメイカー」「イリュージョニスト」など、最後の最後まで犯人がわからないどんでん返しが続く超本格派ミステリ。



「ハリー・ポッター」J・K・ローリング著。
 記述する必要もない世界的大ヒット作品。映像しか見ていない方はとにかく原作を。翻訳が素晴らしい。


「文人悪食」嵐山光三郎著。
 名だたる文豪たちは結構な悪食であったーーー。作品は読んでも作家の好物までとなると案外知られていない。夏目漱石、森鴎外など著名な文豪から詩人までの当時の食生活と作品について読みやすく書かれている。
 作家と作品名が覚えにくい、という方もこれで愛着がわいて覚えるかも? 他にも悪妻シリーズなど、文豪の知られざる面についていくつも著作がある。


「用心棒日月抄」藤沢周平著。
 江戸時代小説。北国のさる藩に勤めていた青江又八郎は、藩主に関わる秘事を知ってしまい人を切って脱藩の身に。江戸に流れて仕事を探す青江は、剣の使い手であることから用心棒仕事を押し付けられてばかり。
 男前で女性にモテるが、誠実生真面目な青江と、子沢山の細谷、仕事の斡旋屋の相模屋が一話完結しながら忠臣蔵に関わってしまう用心棒シリーズ一作目。女心を書く天才、藤沢周平の絶妙なさじ加減と、青江の最初の仕事が
 まず犬の用心棒、などとユーモラスを交えながら切ない話が織り込まれる藤沢作品の代表作。


「隠し剣シリーズ」藤沢周平著。
 様々な隠し剣が登場。それぞれ読みきりだが、一見さえない男たちが実は必殺の技を持ち、それによって翻弄される作品集。山田監督によって映像化した「たそがれ清兵衛」「武士の一分」なども原作はこのシリーズから。
 藤沢作品の特徴を捉えつつ、時代考証もきちんと作られた時代もの映画としては一流なので映画もおすすめ。山田監督以外のものは原作ファンとしては却下。


・藤沢周平のお勧め本「三屋清左衛門残日録」「よろずや平八郎活人剣」「蝉しぐれ」など。はずれなしといっていい。

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