。゚*.☆宝石小箱☆.*゚。

□右手で覆い隠した左手の薬指
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その瞬間、白夜の周りにいた記者たちが一気に床へとひれ伏す。

「え?!」
「ん〜、俺ってやっぱり天才?」

見事に白夜以外をNEXTの力でひせ伏せさせたライアンは白夜の横に行けば彼女の肩を抱いて笑った。

「初めまして?君がジュニア君の奥さん?」
「――まだ違いますけど。」
「はは。確かに。つ〜かァ、お前らコレはルール違反じゃないの?彼女一般人だぜ?」
「ゴ、ゴールデンライアン?!」

記者の言葉に、白夜は横の男を見る。
この男があのゴールデンライアンなのか。
呆気に取られている白夜の視線に気付けば、ライアンは笑う。

「あ、悪ィ悪ィ。ハジメマシテ、だよな?ライアン・ゴールドスミスだ。宜しくな?ミセス・ブルックス。」
「――白夜です。」

昨日まではその呼ばれ方をしたら有頂天になっていたかも知れない。
けれども今の白夜は素直に喜べなかった。

「アンタのバカ亭主には俺が怒っておいてやったぜ?」
「バーナビーに?」
「そ。アイツ、良いヤツだけどこう言う機転が効かないんだなァ。」
 
そうブツブツ言いながら記者達を追い払ってくれたライアンに白夜は自分の中のイメージを改める。
勝手に慇懃無礼な自信過剰男と思っていたがそうではないようだ。

「――有難うございます。」
「イ〜エ。おっと!旦那の登場だぜ?」

その言葉に振り向けば、息を切らしたバーナビーがいた。

「バーナビー。」
「白夜!大丈夫ですか?!ライアンに何かされたんですか?!」
「おいおい。俺は嫁さん、助けてやっただけだぜ?」

白夜を奪い取るように抱き寄せながら、バーナビーがライアンを威嚇する。
バーナビーの態度にライアンが苦笑混じりに言えば、白夜は思わずバーナビーの頬を叩いた。

「――ッッ?!白夜?」

驚いたように白夜を見れば、彼女の目には涙が浮かんでいた。

「白夜――?」
「ライアンは私を助けてくれたのよ。そんな風に言わないで。」

なんだかもうグシャグシャだった。
勝手なバーナビーも、好き勝手騒ぎ立てるマスコミも。
全てが嫌で全てを投げ出したくなってしまった。
そんなグシャグシャな自分を見られたくなくて、白夜は思わず後ろを向く。
泣くのを我慢している肩をバーナビーはどうするべきか手を宙に漂わせた。
その様子を見ていたライアンは頭を掻き毟って言う。

「――あぁ、もう!なんなの、お前ら!結婚すんだろ?!言いたい事ぐらい言えよ!そんなんじゃすぐに離婚しちまうぞ!」

その言葉に、バーナビーは何と答えるべきか分からずに立ち尽くす。

「僕は――。」
「ジュニア君はとりあえず白夜ちゃんに謝るべきだな。」
「――白夜?」

くるっとこちら側を向いた白夜にバーナビーは思わず声をかける。

「バーナビーのバカ!なんなのよ、これ!勝手に結婚発表なんかするからこんな事になるんじゃない!」
「す、すみません!」

いきなり怒鳴られてバーナビーは思わず謝る。
ライアンは白夜が怒鳴るとは思わなかったのか、目を丸くしていた。

「朝からマスコミに追い掛け回されるし、今だって内緒にしてたのに後輩にはバレちゃうし!バーナビーに私が似合わないことなんて私が一番良く知ってんのよ!」
「白夜?それは――。」
「それでも――。好きなんだもん。仕方ないじゃない。」


唐突な白夜からの告白に、バーナビーは目を丸くしたまま言葉を出せない。

「――白夜。」
「バーナビーなんか嫌いよ。いつもいつも勝手な事ばっかりして。私は振り回されてばかり。」
「すみません…。」

素直に謝ってしまうバーナビーに、白夜は笑った。

「――それでも嫌いになれない私が一番嫌いよ。」

そう呟いた瞬間、バーナビーは白夜を抱きしめた。

「――ごめん、白夜。気付いてあげられなくて。」
「ヒーローのバーナビーは注目されるのが仕事だから仕方ないのよ。分かってるの。」
「それでもライアンや虎徹さんは気付いてた。――本当にごめん。」

言いたい事を叫んだら幾分かすっきりしたのか、白夜は首を振る。

「良いの。忙しいのに来てくれたんでしょ?有難う。」
「――白夜。こんな僕だけどこれからも一緒に生きてくれますか?」
「――はい。」

抱き締められた腕の暖かさに、白夜は心の底から幸せだと感じる。

「あのな――、お前ら人前でラブコメすんのやめてもらえる?」

気まずそうに声を上げたライアンに、白夜とバーナビーはようやく我に返ったのだった。








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ヴェロニカは嗤ったの管理人である天月レイナ様に続編を頂きました!
ありがとうございましたー(*´∀`*)

 
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