。゚*.☆宝石小箱☆.*゚。

□空と海と君と私と
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「そろそろ、出よっか・・・」
「そうだな」

名残惜しそうにくっつけていた身体を離し、ベッドから降りる。
ベッドからすらりと伸びた白く細い白夜の足。
曹丕の、白夜の身体の中でも特に好きな部分である。
ただ細いだけではない、程よくついた筋肉が健康的な白夜を象徴している。

クローゼットを開け、今日着る服を選ぶ。
おしゃれが大好きで、やたら沢山持っているワンピース。
久しぶりの曹丕との休日、中でもお気に入りのワンピースを手に取る。

「それを、着るのか・・・?」
「えー、ダメ?」
「そういう訳ではないが・・・その、なんというか・・・恥ずかしいだろう」
「あ、曹丕が照れてる〜」

白夜が手にしたワンピース。
2人が付き合いはじめて、曹丕が初めて白夜にプレゼントしたものなのだ。
袖に二連のリボンが付いており、落ち着いた深い紫色のワンピース。
腰の紐を結べば、スタイルの良い白夜の身体のラインがよく分かる。

「今日は、絶対にこれ着るんだから」
「まあ、勝手にしろ」
「あ、着替える前に朝ご飯作らないとね」
「いや、かまわん。せっかくだし、朝昼兼ねてバイキングでも行くか」
「うんっ、いいねいいね」

白夜は嬉々としてワンピースに着替える。
そして、化粧。
普段仕事へ行く時よりは、少しだけ時間をかけて。
白い肌に桃色のチークがなんとも愛らしい。

化粧と着替えを終え、白夜がリビングへ出ると、曹丕の支度も完了していた。
曹丕の私服は、まさに性格が表れたような洗練されたコーディネート。
2人が並ぶと、本当にこれからパーティでも行くのではないかと見間違えるほどの美男美女だ。

「準備はできたか?」
「うん!」
「行くか・・・」

曹丕は、玄関に置いてある車の鍵を取る。
こうして、2人揃って自宅を出るなんて滅多にないこと。
白夜は余程嬉しいのか、曹丕の腕にしがみ付いた。

「やけに嬉しそうだな」
「当たり前でしょ?2ヵ月ぶりよ、2ヵ月ぶり!」

鍵をかけ、廊下を進む。
ただ、並んで歩く。
たったそれだけのことなのに、白夜にとっては、これが幸せ以外の何ものでもない。

車に乗って、首都高を滑走する。
車窓から覗く、流れる景色。
愛しい人と一緒だというだけで、とても特別なものに感じられる。

朝食と昼食を兼ねたバイキングを堪能して。
行き当たりばったりで、あてもなく車を走らせる。
日常的といえば十分日常的な風景ではあるのだが。
今この時は、何故か非日常的なものに感じる。

初夏の爽やかな空が広がる。
スカイブルーの壁に覆われているようなこの特別空間に、まるで2人だけしか存在しないような錯覚。
今ここに点在する一つ一つが、今のこの瞬間を形成している。
故に、今ここにある何か一つでも欠ければ、この空間を創りだすことはできない。
そんな奇跡に、感動さえ覚える。

少し車を走らせて、大きなショッピングモールへ。
普段仕事が忙しくてなかなか買い物ができないために、こうした大規模なショッピングモールへ来るのはかれこれ久しぶり。
雑貨、ファッション、コスメ。
様々なジャンルの有名ショップが並ぶ通りを歩く。

「あ!このワンピース、すごい可愛い」
「・・・」
「ちょっと曹丕。またか、みたいな顔しないでくれる?」
「もうクローゼットの中一杯だろう」
「いいのー、いくつ持ってても。曹丕はスーツが制服かもしれないけど、私は私服で仕事行かなきゃならないんだから」
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