。゚*.☆宝石小箱☆.*゚。

□空と海と君と私と
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一流の企業に勤めている曹丕。
そして、街の小奇麗な雑貨屋で副店長として働いている白夜。

曹丕は、一流の企業というだけあって、仕事も多く毎日帰りが遅い。
しかも、なかなかのポジションにいるものだから、たくさんの仕事を任されており、家に居ても仕事関係の電話を受けることがある。
白夜はというと、曹丕の休日である土曜日曜こそが、雑貨屋としては書き入れ時のために、休みは平日。
同棲はしていても、なかなか2人でのんびり過ごす時間がない。
それ故、白夜が不安に感じることも多々。


曹丕の仕事が早く終わり、共に過ごせる時間がある夜には。
白夜は、思わず心の内を吐露しそうになるのだが。

「仕事、大変そうだね」
「仕方あるまい。私達の将来の為だ」
「まあ、そうなんだけど・・・」

2人の時間が少ないことに不安を抱きつつも、いつも曹丕に言い包められてしまう。
言い包められる、なんて言うけれど、曹丕はもっともなことを言っているため、白夜はなかなかそれに対して返すことができない。
しかし、さすがは曹丕。
白夜の言わんとしていることを悟った曹丕は、白夜をそっと抱き寄せ、頭を撫でながら呟いた。

「何を不安がっている。私だって、なかなか時間がつくれないことを申し訳ないと思っているし、淋しくも思っている」
「曹丕・・・うん。ありがとう。大丈夫」
「別に礼を言われることでもない。今度休みが合ったら、どこか連れて行ってやる」
「うん!」

不安げな表情から一転、パアっと花が咲いたように笑う白夜につられ、曹丕も口元を緩めた。

言葉にしたことなどないが、曹丕はこの笑顔が大好きだった。
仕事で疲れ果てた心身を、根こそぎ癒してくれる。
これが心の繋がりなのだと、改めて実感する。
たとえ仕事で2人の時間が減ろうと、顔を合わせば安心する。



そんなある日。

白夜が目を覚ますと、いつもは一人でゆとりのある布団の中が、まだ自分以外の存在感で満たされている。
珍しく、平日に曹丕が休みを取れたのだ。

朝、起きて、曹丕が隣にいる。
普段は曹丕の方が出勤が早い為、白夜が目を覚ます頃は、既にベッドには白夜のみ。
白夜は身体を起こして、隣の曹丕をみる。

「・・・今日、仕事お休み?」
「・・・そうか、言ってなかったか。今日、休みが取れたのだ。・・・普段あまり構ってやれない分、今日はドライブにでも連れて行ってやる」

白夜は、あまりの突然のことに困惑しながらも、喜びを隠せなかった。
2人の休みが重なったのは何日ぶりのことだろうかと、白夜は指折り数えた。

「・・・2ヵ月ぶり!?」
「そうか。・・・お前には本当に淋しい思いをさせてしまっている」
「んーん。大丈夫だよ?そんなこと気にしちゃだめ。頑張ってる曹丕の力に、私はなりたい。曹丕の、負担には絶対になりたくないから」
「・・・ついこの前、不安がっていたくせに。・・・ふっ、でも、そんな白夜を、心底愛しく思う」

曹丕は自らも身体を起こして、白夜と視線を合わせる。
視線が絡めば、指も絡む。
指を絡ませば、唇が重なる。
眩しい朝の光が差し込む小さな部屋に、鮮やかに無音の時間が流れる。
布団の温かさと曹丕の温かさに白夜は眠気に襲われるが、折角の2人揃っての休日を寝て過ごすのも勿体ない。
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