DQ11

□デルカダールの姫君
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勇者一行は3度目となる虹の枝を求めて、グロッタの町仮面武闘会の準優勝チームのロウ達を追い、ユグノア地方を訪れていた。

「もー!虹の枝って呪われてるんじゃないの?」
悪態をつくベロニカや、勇者レイブンの実の母エレノアの故郷でもあるユグノアに場所を指定したことを不可解に思う仲間と様々だった。

そして、ユグノア城跡地でロウは待ち構えていた。しかし、観念したといった様子ではなく、どこか穏やかな表情だった。

「さあ、じいさん!虹の枝は返してもらうぜ!」
カミュはロウに詰め寄る。

「虹の枝が必要なのは、レイブンが勇者だからかの?」

「じいさん!あんた一体!」
カミュは短剣を構えるが、ロウに戦闘の意思は一切ない。

「ついてきてくれんか?」
穏やかな、しかしどこか寂しげな表情のロウに仲間全員で顔を見合わせたが、ついていくことにした。

そこで明かされる衝撃の事実に困惑したレイブンだったが、実の祖父ロウに促され、鎮魂の儀式に参加した。

「レイブン。こんな時になんだけど、おじいちゃん生きててよかったね。」
控えめにベロニカは言った。

「あぁ・・・。」
と答えるが実感が湧かなかった。自身の祖父はテオであったからだ。しかし、血の繋がりがあるのか、どこか懐かしい気がするのも事実だった。







幻想的な儀式を終え、ロウは娘エレノアの手紙を読み、うつむき、声を殺して涙を流していた。
「すまん。しばらく、一人に・・・してくれんか?」
その様子をみたマルティナも目を覆い、立ち去ってしまった。
16年越しに果たせた鎮魂の儀式。
ロウは何を思ったのかは自身には計りしれなかった。

イシの村とユグノアが重なって見えた。

レイブンは仲間とも話す気になれず、とぼとぼと山道を下りて、洞窟を抜けた先に、マルティナが夜空を見上げていた。
頬が光り、涙を流しているのだと気がついた。
あまりの美しさに思わず立ち尽くす。


「エレノアさま・・・。」

「誰っ・・・!?」
マルティナは戦闘態勢に入ると、驚いたレイブンがいた。


「ごめんなさい。これは・・・恥ずかしいところを見られたわね。」
涙を拭い、驚かせてしまったことを謝る。


「エレノアさまのことを思い出してたの。そう。君のお母さまのことよ。」

「ボクの、母さん・・・?」

「・・・歩きながら少しお話しでもしましょうか。」
特に断る理由もなく、微妙な距離感で二人は山道を下った。



「私の母は 病弱でね。私が生まれてすぐ 亡くなったの・・・。」
「エレノアさまは そんな私を気遣って、絵本を読んでくれたり 花摘に誘ってくれたり 本当に優しい方だったわ・・・。」
「だから そのエレノアさまが 子供を授かったと聞いて・・・私 心の底から 嬉しかったの。自分に兄弟ができたような気がして・・・」
寂しげなマルティナの横顔にレイブンは何も言うことが出来なかった。


「!」
薄暗い空から雨が降る。

「そう・・・。エレノアさまと最後にお会いした16年前のあの日もこんな雨だった・・・」
懐かしい幸せな思い出も雨で現実に引き戻されたマルティナは直ぐに凛とした顔つきになった。

16年前一体何があったのか。確かめようとマルティナに声をかける。

「あの・・・16年前」
「まって!あれは・・・?」

薄暗い森の中にたいまつを持った兵士が十数人。隊列を組み、捜索している。

「どうやら君たちの追っ手のようね。かなりの数だけど・・・あれだけの追っ手を出せるとしたら・・・」

二人は顔を見合わせた。

「「デルカダール・・・!!」」
あいつら、こんなところまで!レイブンの奥歯がギリギリと鳴った。


「レイブン!急いでみんなのもとに戻りましょう!」
頷くレイブン。二人で走り出したが、山道の先に兵士がいた。
二人で岩影に隠れる。

兵士「祭壇から逃げた連中はいたか?」
兵士「いや、見つからん。・・・悪魔の子は?」
兵士「ダメだ。どこにも見当たらん。くそっ!逃げ足の速い連中だ!」


このままでは いずれ見つかってしまう。どうすれば・・・せめて、レイブンだけでも。
岩影から様子を伺っていると、


兵士「あ、ぁ・・・悪魔の子!
みんな!ここに悪魔の子がいるぞー!」
たいまつを大きく振り合図を送る兵士。


しまった!気をとられて見つかってしまった。
「くっ!こっちよ!レイブン!」
レイブンの手を引くマルティナだったが、兵士の数が増え、背後の兵士たちにも追い付かれ、瞬く間に囲まれてしまった。



兵士「仲間の女がいるぞ!どうする!?」
兵士「グレイグ将軍からは悪魔の子を捕らえよとしか言われておらん。」
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