FF7
□マイヒーロー
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「クラウド、格好良かった、ね?」
「う、うん…///」
首を傾げて微笑みかけるエアリスにティファはクラウドの後ろ姿を見つめて俯いた。エアリスとティファの目の前には金髪をツンツンにしたリーダーの姿があった。
時は少し前にさかのぼる―――――。
エアリス救出に成功したクラウド一行は神羅ビルから脱出するため展示フロアに展示されていたバイク、トラックにそれぞれ乗り込んだ。
「ったく、無茶しやがるぜ。元ソルジャーさんはよぉ!」
バレッドはトラックの荷台から悪態をつく。それもそのはず、何故なら神羅ビルのガラスにバイクで体当たり、そこから高速道路に飛び移るとは…。
とその時バレッドの隣にバイクで並走したクラウドの姿が…
「―――――ッ!!」
「ねぇ、クラウドが何か言ってる、よ?」
エアリスが助手席からティファに声をかける。
「クッソ…何言ってるかさっぱりわからねぇ!!」
それもそのはずバイクのエンジン音、風の音に全てかき消されてしまった。クラウド自身あまり大きな声の持ち主ではない。
「もっとスピードを上げろ…だそうだ」
「凄いッ!!レッド13、聞こえるの?」
「私の聴覚を舐めるな」
そう言うとほんの少し照れたように顔を背けた。
スピードを上げようとしたその時!
「きゃあッ!!!」
急に悲鳴をあげたティファの隣にはバイクで並走してきた神羅兵。銃を構えた神羅兵にトラックの運転席に座るティファには為す術がない。
全員がそれ相応の覚悟をした瞬間――――。
ザシュッ!!!
鉄を切り裂く音がした。次に聞こえてきたのは神羅兵の悲鳴とバイクが転倒して道路と摩擦する音。
さらにバイクが転がり摩擦し火花が散るところをティファは見た。
そして凛々しい幼なじみの顔。そして口元が微かに動いたのが見て感じられた。
「むっ…」
何かに気付いたレッド13にティファは無言で視線を向けた。聞きたいことはエアリスに台詞をとられる。
「どうした、の?レッド13?」
「フッ……ティファとエアリスには指一本触れさせない…だそうだ」
「「えッ!!///」」
瞬間女子二人の顔が赤く染まった。
この後もクラウドは何十人にものぼる神羅兵を…正確には乗っているバイクを切り倒しっていった。
銃で狙われた際にはトラックの後ろにまわり込みガード。完璧なボディーガードっぷりに終始ウットリしていた女子二人(特にエアリス)だった。
パーティーを二手に分ける際にも率先して二人を守ると言ってパーティーを半ば強引に決めたクラウド。
「やるとおもったぜ…だがなッぜってー認めねーからなッ!!」
納得がいかないバレッドも元ソルジャーのクラウドに「もしソルジャーに狙われたらあんたじゃティファもエアリスも守れない」と言われ黙ってしまった。元ソルジャーゆえの説得力がある。
そしてティファはそのクラウドを見つめるエアリスの目に気付いてしまった。
あぁ…エアリスもか、と。
・
・
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「―――こうして三人で旅するのって何か…ってティファ、聞いてる?」
むぅっと膨れる顔は怒っていても可愛らしい。
「どうかしたのか?ティファ」
クラウドは戦闘の際前衛で戦うためほんの少しティファ達と離れていた。道の先に僅かな危険でも直ぐに察知するためだ。
「ううん、何でもないよ、……あ、あのね、私も前衛で戦わせてくれないかな?」
ほんの少しでもいい。クラウドのチカラになりたかったティファ。
そう言うティファにクラウドは目をまるくした。
「いや、前衛は俺一人で十分だ。ティファは敵のバックアタックに備えて欲しい」
「…うん」
俯いてしまうティファ。バックアタックなんて稀にしかないのに。でも稀にしかない…なんて決めつけるのは危険だよね。
でもクラウドの隣で戦いたい。背中を預けてほしい。そのために強くなったのに…。
「夜までにはカームにつきたいな…少しペースを上げるぞ」
クラウド一行はカームを目指す。