短編

□ケンカするほど
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最近、無性にイライラする。

そして、その原因ははっきりわかっている。

前は今よりかイライラすんのがマシだった。

けど……





「あれ?そんなとこで何してるの?」



イライラの原因、緑のツインテール来た。



「何もしてないし。つーか、何をしてようがミク姉にはカンケーないし」

「関係あるよ。一応、年上だし。まだ君みたいに“小さい子”の保護責任的なことしなきゃだもん」



イライラする。

それに2歳しか変わんないし。

つか“小さい子”ってなんだよ!!??



「そりゃ、親切にドウモ。でも小ささに関してはミク姉に負けるよ。つーか、勝つヒトいんの?」

「セクハラ?いやいや、14歳でその身長っていうのもなかなかいないんじゃない?」

「ネギ好きなヒトよりマシだよ。大体、ネギ好きってその年代であり得ないだろ」

「ヒトの好き嫌いに文句つけないでよ。バナナの分際で」

「何がネギには栄養がある、だよ。そんなにネギが好きならネギと結婚でもすれば?」



互いにいがみ合い攻防戦を繰り返していく。

毎日これだ。

日に日に増していく。



ミク姉とこんなことしたくないのに。



「……もっと背、縮んじゃえ!!チビ!!!!」

「うるさい、貧乳!!!!」



大股で自分の部屋に戻っていくミク姉の背中にため息を一つ。

すると、ミク姉と入れ替わるようにリンが来た。



「…………またケンカ?」

「うるさい」



すると、大袈裟にため息をつかれた。



「知ってる?」

「なにを」

「ミク姉、毎日牛乳飲んでるの。どっかの誰かさんみたいに」

「へぇ」

「そのどっかの誰かさんがミク姉に貧乳って言うからいつか見返してやるんだって」

「………………」

「愛されてんね」

「どこがだよ」



2回目のため息をつきやがった。

なんだよ、その蔑むような目は。



「あのさ、普通女の子はどーでもいいやつとかシカトするの。わかる?言ってる意味。気にしてんの、あんたのこと」

「…………俺だって、もっと優しくしてやりたいよ。けど、いざ目の前に立つとできないっつーか……」

「この、ヘタレ」

「うるさい」

「ったく、何で男は好きって、言えないのかな!!??」



ガクガクと肩を揺らされながら、自分の情けなさを思い知る。



確かにリンの言う通りだ。

でもできないから仕方ないじゃんか。



「あーぁ、いつかミク姉取られちゃうよ?」

「はぁ!?」

「……ミク姉、モテんじゃん」



ふと、リンがニヤリと笑う。

なんだよ、その含み笑い。

絶対なんか企んでるだろ。



「あ、そーだアタシがレンになってコクればいいんじゃん」

「ちょ、おま、止めろよっ!!」

「そーだなぁ、理由なんにしようか……。可愛いから……それ以外にあるかな??」



は?何コイツ。

見た目以外ににあんだろが。

しかも、可愛いのは当たり前。



「あるし」

「じゃあ言ってみなさいよ」

「……天然で優しくて、周りのこと常に考えてくれてんじゃん。つか、あんないいヒトいないって。ネギが好きとか別にいいじゃん。そんでネギ抱き締めて笑ってる時とかマジ天使じゃねぇか。萌え殺す気なのかって思う。もう、ホントに可愛い、可愛すぎ。大体、胸とか今のままでもいいし。言うほど小さくないし。てか、胸デカくなったら余計、変なムシが寄ってくるだろ。しかも無防備すぎるし…。いや、またそこがいいんだけど少しはこっちのこと考えてほしいっつーか…」

「ちょっと、レン……!?」

「とにかく、全部可愛いんだよ。マジあのツンデレなとこが…」

「レンっ!!!!」



リンの叫び声で我に返った。



……まず、俺にミク姉のこと語らせたリンが悪い。

決して俺は気持ち悪くない。

そうだろ!?

好きなヒトのこと言う時は誰でもそうなるだろ!!??



「レン、キモい」

「お前が言わせたんだろっ!!!!大体、いつもこうなることくらい、わかってんだろうがっ!!!!」

「いくら何でも限度があるでしょ。……そんなに好きなら早くコクればいいじゃん」



ほら、とリンが後ろの方を指差した。

そこにはさっき出ていったはずのミク姉(その後ろにはクオ)が顔を真っ赤にしながら立ち尽くしていた。



「じゃ、頑張って」



どん、と背中を押され、リンを睨むとニヤニヤと笑いながら「クオ兄、ごくろーさん」と言いながらクオと部屋を出ていった。

あいつら仕組みやがったなっ!!

……でも、チャンスかも。

そう思いながら一歩前に踏み出した。

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