短編

□2人の温度
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「レンくん、何してるの?」


「本、読んでる」


「ふ〜ん」



さっきからずっとこの調子。

私が話しかけても一言返されるだけ。


一応、彼女なんだし・・・少しくらい構ってほしい。

同じソファに座ってて、距離も結構近いはずなのに平然としている君が不思議だよ。


私は、こんなに心臓バクバクなのに。



「何の本?」


「推理小説」


「そっか・・・」


そっけない返事ばっかりで、へこみマス。

もしかして、レンくん私に愛想さめた?!

でも、顔ぐらいみてくれたっていいじゃない。

話しかけても、何しても本から顔をあげてくれない。


・・・・仕方ない、強硬手段をするしかないか。


「レンくんっ!」


「何?って、うわっ?!」


レンくんに向かってダイブ!!

しっかりと腕をレンくんの首に絡ませ、離れないようにギュゥってする。

レンくんのこと、好き!

大好き!超好き!愛してるっ!

伝われ、私の気持ち!


「ミクね・・・く、苦しい」


「やだ、離さない」


「誰も離してとは言ってないよ」


そっとレンくんの顔を見るとそらされた。

ミクちゃんにいちおくのダメージ。

レンくんに顔そらされた。

そらされた=私のことキライ。

レンくんがそんなことするから、ほら、目からいっぱい涙がでてきたよ?


「ミク姉?!ど、どうしたの?!」


「レンくんのせいだよ」


「え?」


「だって、レンくんと話したいのに・・・一緒にいるのに・・・わ、私と居ても楽しそうじゃないし・・・き、嫌いなら嫌いって・・・言ってよ・・・」


「嫌いじゃない」


今度はレンくんがギュウってしてきた。

私の頭を優しくなでながら抱きしめてくれる。


「好きだよ、誰よりも好き、ミク姉より好きな人はいないよ」


「だ、だって、さっき・・・顔、そらした」


私がそう言うとレンくんの顔が赤く染まった。


「ミク姉が可愛いから・・・したくなるから」


「へ?」


すると今度は怒ったような顔をした。


「キスしたくなるからっ!!」


「えぇっ?!」


今度は私が赤くなる番だ。

き、きす?!

キスってあれですか?!

魚じゃなくて、恋愛におけるあれですか?!


「・・・・その顔はズルイよ」


レンくんが急にそんなことを言ったかと思えば、私の方に向き直って、ぐいっと引き寄せられて・・・



ちゅっと、唇に柔らかいものを押しつけられた。

それがレンくんの唇なのに気づくのは、時間はかからなかった。





ちゅうされた?

誰に?

レンくんに。

レンくんと・・・・

ちゅうをしたぁっ?!




いつの間にかレンくんは私と距離を置いて、スタスタとどこかに行こうとしてた。


「レ、レンくん、待って!!」


急いでレンくんの手をつかんでレンくんの顔を見た。

耳まで真っ赤になったレンくんがそこにいて、半泣き状態になっていた。

そんなレンくんを見てわたしも顔に熱が集まっていくのを感じた。


「・・・・な・・・に・・・」


今度は嬉しすぎて涙が出そうだ。

そういえば、私レンくんにキモチ伝えてない。


「あの・・・ね、今の・・・・すごく嬉しかった・・・・それからね、レンくんのこと・・・大好きだよ。」


そう言うとまた、ギュゥってしてくれた。

だから、私も負けないようにギュゥってした。

大好き、大好きだからこそ、君につたえたんだ。


「これからも、そばにいてね」


なんて言ったら、君が笑ったような気がした。

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