小説置場U

□ずるくて優しくて意地悪でキザでずるい人
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オレにとって、お前はずるいヤツ。


「んッ!ちょ、シゲル!!」


背中から抱きつかれたと思ったら、うなじに音を立ててキスをされた。

抵抗しようと上げた腕を掴まれ、胸にまわった腕に身体を引き寄せられる。


「し、シゲル!ダメ‥‥っ」
「サトシ」


ぞわりと、背筋が粟立つ。

耳元で、そんな、いつもより低い声で囁くなんて、そんなの、


「ずるい‥‥」
「サトシ‥‥好きだよ」


微笑んで、オレの瞳だけを見つめて、ひんやりとした手で俺の熱くなった頬を撫でて、

やっぱりお前は、オレにとってずるいヤツ。

そんな愛おしいものを見るような目で見つめられたら、ダメなんて言えない。

唇にかかった熱い吐息に、ただ、目を閉じた。





「ッ‥‥は‥‥!」


何度繰り返したって、本来受け入れるべきでない場所に雄を受け入れるこの感覚には慣れない。

うつ伏せになったオレの身体に覆い被さるようにして、シゲルはゆっくりとオレのナカへ入ってくる。

必死でベッドのシーツを握りしめるオレの手の甲に、シゲルは手を重ねて指を絡めた。


「くっ‥‥はぁ、サトシ‥‥大丈夫かい?」


お前はオレにとって優しいヤツ。

いつもオレの心配ばっかしてる。

お前だって、オレと同じくらい痛いくせに。


「んっ、ふ‥‥」


強く目を閉じて、痛みをやり過ごす。

大丈夫の意を込めて、シゲルの指を強く握りしめた。

伝わったのだろう、シゲルはオレの上でくすりと笑って、オレの背中にキスを一つ、落とした。


「サトシ、痛かったら言って?」
「んッ、あ、だい、じょ‥‥だって‥‥っ」


オレの身体を揺すりながら、何度も何度も同じ言葉を繰り返す。

大丈夫だって言ってんだろ、そう言うたびにお前は言う。


「しょうがないだろう?君はボクの世界で一番大切な人なんだから」


痛い思いはどうしてもさせてしまうけど、なるべくさせたくないんだよ。

そう言って、またオレの背中にキスを一つ落とす。

やっぱりお前は、周りが言うようにオレに優しすぎる。
 
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