小説置場U

□ある寒い冬の帰り道
1ページ/6ページ

今日は朝からひどい冷え込みだった。

セナは寒そうに手に息を吐きかける。


「寒いねー」
「今日は今年一番の冷え込みらしいぜ」
「ひえぇ‥‥どうりで寒いわけだ‥‥」


同じアメフト部の仲間のモン太の言葉に、セナは苦笑いを浮かべて空を見上げた。

いつもは青い空を分厚い灰色の雲が覆い、今にも雨か雪かが降ってきそうな雰囲気を漂わせている。


「‥‥雪、降るかな?」
「さー?天気予報じゃ降るかもっつってたぞ」


モン太の言葉に、セナは少し表情を輝かせる。


「‥‥降ればいいのにな‥‥」


セナの言葉に、モン太は呆れたような表情を浮かべた。


「ばっかだなー。雪降ったら練習できねえだろ?」
「うん‥‥そうだよね‥‥」


モン太の言葉に、セナははっと我に返った。

慌てて腕時計に視線を落とす。


「まずい!このままじゃ遅刻だ!!」
「何──?!!」


モン太の叫び声と共に、セナは一目散に走り出した。

モン太も慌てて後を追う。

二人の脳裏には、銃を構える悪魔の姿が禍々しく浮かび上がっていた。



.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ