小説置場U
□ある寒い冬の帰り道
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今日は朝からひどい冷え込みだった。
セナは寒そうに手に息を吐きかける。
「寒いねー」
「今日は今年一番の冷え込みらしいぜ」
「ひえぇ‥‥どうりで寒いわけだ‥‥」
同じアメフト部の仲間のモン太の言葉に、セナは苦笑いを浮かべて空を見上げた。
いつもは青い空を分厚い灰色の雲が覆い、今にも雨か雪かが降ってきそうな雰囲気を漂わせている。
「‥‥雪、降るかな?」
「さー?天気予報じゃ降るかもっつってたぞ」
モン太の言葉に、セナは少し表情を輝かせる。
「‥‥降ればいいのにな‥‥」
セナの言葉に、モン太は呆れたような表情を浮かべた。
「ばっかだなー。雪降ったら練習できねえだろ?」
「うん‥‥そうだよね‥‥」
モン太の言葉に、セナははっと我に返った。
慌てて腕時計に視線を落とす。
「まずい!このままじゃ遅刻だ!!」
「何──?!!」
モン太の叫び声と共に、セナは一目散に走り出した。
モン太も慌てて後を追う。
二人の脳裏には、銃を構える悪魔の姿が禍々しく浮かび上がっていた。
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