小ネタ置場

□アイシールド21:武蔵厳
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□髪□



『お前の髪、本当に綺麗だな』

日本人離れした、金の混じった俺の茶色い髪。
昔からこれが原因でイジメられたこともあったし、教師に目つけられてた。
だから、俺は自分の髪が大っ嫌いだった。
染めりゃいいだけの話、と思うだろうけど、俺はそれが嫌だった。
でも誰かに言われたりやられたりされてそれに従うなんて、絶対にごめんだ。
別に、俺だって望んでこんな髪の色で生まれてきたわけじゃねえし。
染めるなんて金かかるし、髪傷んで抜けるかもしんねえし。
周りの視線も最初は痛かったけど、慣れれば大したもんでもないし。
でも、この髪の色は嫌だった。こいつと同じ黒ならって、何度も思った。
けど、

『‥‥そうか?俺は、嫌いだけどな』
『何言ってんだ。綺麗じゃねえか』

俺の髪を優しく撫でがら、ムサシは笑った。

『お前が嫌いだっつっても、俺は好きだけどな』

そう言って、何度も何度も俺の髪を撫でるから。
お前がそう言うなら、昔からコンプレックスなだけだったこの髪すら、好きになれると思った。

「お前、髪切らねえのか?」

突然のムサシの言葉に、俺は読んでいた雑誌から顔を上げた。

「‥‥何で?」
「大分伸びてんじゃねえか。切れよ。鬱陶しいだろ?」

は?なんだよ、それ。鬱陶しい?

「‥‥おい?」

突然立ち上がった俺を、ムサシは訝しむように下から覗き込んできた。

「‥‥帰る」
「は?」

すたすたとムサシの部屋のドアに向かう俺を、ムサシが慌てて止めた。
腕を掴むムサシの手が、少し痛い。

「‥‥放せよ」
「何怒ってんだ?」
「うるせえな。放せよ」

無理矢理腕を振り解いたら、後ろから抱きしめられた。

「放せっ!はな‥‥っ?!」

突然俺が暴れた所為で、ムサシは後ろに派手に倒れた。

「‥‥っ‥、」
「だ、大丈夫か?!」

慌ててムサシの顔を覗き込めば、顔にかかる俺の髪が不快だったのか、ムサシは顔を顰めた。
それが少し、痛かった。

「‥‥悪ぃ」

起き上がろうとしたら、抱きしめられた。
顔を伏せる俺の顎を掴んで、乱暴に上を向かせる。

「何怒ってんだよ」

真剣なその目が、腹立たしくて。
俺は強く歯軋りすると、ムサシに怒鳴った。

「お、前がっ」
「俺が?」

逐一聞き返すこいつが、本当にムカつく。

「お前が‥‥好きだって言ったから‥‥伸ばしてたのに‥‥」

俺の言葉に、ムサシは驚いたように目ぇ見開きやがった。

「‥‥なのに‥‥鬱陶しいって‥‥」
「‥‥あー‥‥」

ムサシは困ったように、頭をかいた。
勿論、片方の腕は俺を抱きしめたまま。

「そりゃ、言い方が悪かったな。スマン」

あっさり自分の非を認めて謝るところも、俺の方がガキっぽく見えて嫌だった。

「そうじゃなくてだな、‥‥なんだ、その」

珍しく口篭るムサシを、俺は不思議に思って見上げた。

「髪が長かったら‥‥お前の顔が見えにくいだろ?」

視線を逸らしながら言うムサシに驚いて、今度は俺が目を見開いてた。

「それに、眩しいしな」
「眩しい?」

不審そうに聞き返した俺に、ムサシは悪戯っぽく笑った。

「お前が」

そう言いながら、ムサシは優しく微笑みながら髪を撫でる。
きっと俺の顔は真っ赤に違いない


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5年近く拍手お礼に居座ってたネタ集その伍。
当時初ムサシ夢(?)なんざ書いてみました!!ていう小説。
如何でしょう?(聞くな)
甘になっていたでしょうか?(聞くなっつうの)
とりあえず、主人公自分の髪の色がご不満です。
でもヒル魔さんはその髪の色気に入ってるといいよ!(うるせえ)
主人公はムサシより一つ年上で、フリーターだとよろしいです(何)
年上の恋人」の元ネタでござい。
年下攻萌!
何気にムサシさん、まだ大工です。
ていうか大工のムサシに髪の毛鬱陶しいとか言われたくな(ry


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