小ネタ置場

□テイルズオブリバース:サレ
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■愛してるが言えなくて■



暗闇の中、ぼんやりと掌を眺めていた。
この掌に刻まれた歪な曲線が、何らかの意味を持って生まれてきた証なのだろうか。
俺の身体の下で、サレは啜り泣きながら何かを請うように俺の名を呼び続ける。
目は泣き腫らして真っ赤になり、頬は涙で濡れている。

「‥‥っ‥‥ぅ‥‥、っ」

目を真っ赤にさせて泣きながら、俺に向かって震える手で腕を伸ばす。
わかってる。サレが俺に何を求めているか。
俺はサレに向かって微笑むと、サレを抱きしめようと腕を伸ばす。
サレの表情が強張ったのを見た瞬間、勢いよく小さな身体を突き飛ばした。
優しく微笑んだつもりだったのに、歪んだ笑みを浮かべていて。
ベッドの上に倒れたサレの肩を掴んで、バネが軋むほど強く押し付ける。
サレの悲鳴が、耳を突いた。
サレを包み込もうとした指はサレの僅かに纏った服を切り刻んで。
頬を撫でようとした手は、血が滲むほど強く引っ掻いた。
暗闇に浮かび上がるサレの鬱血痕と傷跡だらけの白い身体に、やっと治まった欲情が起き上がる。

お互いの傷を慰めあって、お互いのことを包み隠さず教えあって、理解しあったふりしたって。
結局俺とサレは別の人間で。
それでも、ひとつになりたいんだ。
だからこの暗闇中で、もがいてもがいてもがいて。
それでもこの袋小路に迷い込んだまま逃げ出せなくて。
夢を見るから儚くて、探すから見つからなくて、欲しがるから手に入らなくて。
いつも、途方に暮れるんだ。

どこで間違った、なんて考える暇もないけど、それでも答えが欲しくて。
俺は俺で、お前はお前なのに。
どうして俺たちは、そんな簡単なこと忘れちまうんだろうな。

‥‥ああ、そうか。ひとつになんか、ならなくていいんだ。
認め合えば、それでいいんだ。
価値観も、理念も、宗教も、認め合えることが出来るから。
でも、それでも、

サレの薄いけれど形のいい唇を塞いで、唾を吐き捨てた。
舐めるつもりで首筋に唇を寄せたのに、食いちぎるように噛み付いて。
折角服を着せてやったのに、びりびりに引き裂いて。
またサレに、主従関係のような愛を求めるんだ。

「サレ‥‥」

嗚呼、そんな、怯えたように俺を見るな。
叫ぶように開いた口は、歪んだ笑みを浮かべた。

「イイ声で啼けよ?」

違う。そんなことが言いたいんじゃない。
ひとつにならなくったっていい。認め合えればそれでいい。
それでも、この狂った想いは治まらなくて。

ただ、俺は、お前に「愛してる」って言いたいだけなのに

その愛してる、が言えなくて。
顔を上げれば、小さな光が俺たちの前を照らしてくれるような気がした。



Image song【掌】
Singer by【Mr.Children】



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5年近く拍手お礼に居座ってたネタ集その弐。
激ダーク!主人公若干狂い気味?;
この曲も大好きです。人間の本能をよく表してるなぁ、と。
イメージのまま作ったら、歌詞のまんまなような気が;
龍瀬の中では、主人公はサレが愛しすぎて、嫉妬心むき出しのような気が(意味不明)
多分「苦手な人」主人公。
名前変換入れようとしたらいらんかっttttt(ry
ていうか、サレ、夢?


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