小ネタ置場

□戦国無双:加藤清正×石田三成
1ページ/1ページ

初めて会ったときから、お互い印象は最悪だった。
それは月日を重ね、俺たちの関係が深まっていっても変わることはなく。
お互い「馬鹿」「馬鹿」の呼び合い貶し合い詰り合いばかりで。
決して良好な関係ではなかった。
それはもう自他共に最悪だった。

気に食わない、気に食わない、気に食わない。
あいつを見かけるたびに、その言葉が俺の胸の中で渦巻く。
俺や正則とは違い体躯に恵まれず、いつだって理屈ばっか並べて、皮肉屋で、口も性格も目付きも最悪で。
体格に恵まれてるわけでもねえのに必死で武芸の稽古を積んで、疲れ果てたその細い身体で執務に没頭して、大して体力もねえくせに戦場駆け回って、強くもねえくせに敵武将に立ち向かって行って、ただでさえ細っこいのに飯も食わずに勉学に励んで、
気に食わない。
奴の、三成のすべてが気に食わなかった。

ただ奴の姿を見るだけで気に食わなかった。
いつからか、あいつが誰かの隣に立ち、寄り添い合って言葉を交わし、顔を突き合わせて笑っている姿でさえ、気に食わなくなった。
姿を見るだけで腹が立ったので、視界に入れないようにしていたのに。
いつからかその姿を探すようになった。
見つければ追うようになった。
誰かと時間を過ごすその姿に、俺の胸の内に黒い、どろりとした醜い感情が溢れ出して、
そしてそれに、気付かないふりをした。

非力な腕を掴んだことはあったが、手を握ったことはなかった。
薄い舌に噛みついたことはあったが、唇を吸ったことはなかった。
鋭い瞳を濡らしたことはあったが、頬に触れたことはなかった。
細い身体を抱いたことはあったが、抱きしめたことはなかった。
わけのわからない理由をこじつけたことはあったが、己の想いを受け止めたことはなかった。
そんな関係を、十五から袂を分かつまで続けた。
きっと奴も、俺と同じだったに違いない。
自分が持つ感情に、気付かないふりをした。

「清正!俺は‥‥!」

袂を分かったあの日、奴はその次の言葉を音にしなかった。
きっと俺が奴の立場で、同じことを口にしたなら、その先の言葉を音にしなかっただろう。
だから何も言わず、その場を去った。
抉れそうなほどの胸の痛みに、気付かないふりをして。
崩れ落ちそうに小刻みに震えるその細い身体を、目一杯抱きしめたい衝動に気付かないふりをして。

知っていた。俺は、知っていた。
あの日、正しかったのはあいつだった。
現に俺は、大阪城にいる。
そして憎いかな、あいつの最後の軍略で、俺たちは家康を討った。
「友のためにと」と言って、左近は俺を見て笑った。
ああ、左近め。憎らしいほど聡い奴だ。そして、健気だ。
俺とあいつの関係を知って、それでも俺のしたことを許すというのか。

なあ三成、お前にとって俺は何だった?
友か?兄弟か?好敵手か?目の上のたんこぶか?
‥‥想い人、だったか?
長い間、気付かなかったふりをした。
俺も、お前も、自分の気持ちにも、お互いの気持ちにも、気付かないふりをした。
そうすれば、永遠に変わることなく、この関係が続くのだと、根拠もないことを盲目的に信じていた。

俺は今になって思う。
俺と一回り違う小さなその手を握っておけばよかった。
辛辣な言葉しか吐かないその唇を吸っておけばよかった。
侮蔑の笑みを浮かべるその頬に触れておけばよかった。
力を込めれば簡単に折れそうなその身体を抱きしめておけばよかった。
醜いとさえ思ったこの純粋な想いを、せめて、受け止めていればよかった。
今になって思う。今になってだ。
どうしたって、もう、遅いのに。

ああ、三成、
今になって、俺は自分の想いを受け止めることができた。
もう、お前の想いを確かめることはできないけれど、



「お前を、誰より愛してた」



----------------------------


清正の章プレイ中に悶々として書き上げました。
執筆時間20分。誰が馬鹿って龍瀬である。
何かもうこの二人はこんな感じだったんじゃないかな!
お互い気に入らないのにお互いか気になってしゃーない!みたいな!!
そしてこの二人の関係に正則は気付いてないし、入りこむことすらできないのです!!馬鹿だから!!!(ドーン)
ただ思いのままに書きなぐった。後悔はしていない。
最終章のネタはわかってたけど「結局豊臣戻るなら徳川行くなよ」と思ってしまったww
龍瀬はいつだってツンデレの味方です!!1! ←


[⇔小ネタ]

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ