小ネタ置場

□べるぜバブ:姫川竜也×神崎一
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オレは女が好きだ。
それは昔から変わらないし、今も好きだし、未来永劫オレは女が好きである自信がある。
実際一日たりとも女が横にいなかった日はなかった。
ただ金に釣られただけでも、女は女だ。
世界中の女を敵にするであろう台詞を敢えて言うなら、抱けりゃそれでいい。
世界中の人間を敵にする言葉を敢えて言うなら、たとえブランド物のバッグを強請られようが買ってやる。金は掃いて捨てるほどあるからな。

オレは女が好きだ。それは昔も今もこれからも変わりはしねえ。
だが一人の女に入れ込んだことはねえ。
はっきり言えば人を好きになったことがねえ。
そんなオレが、18年生きてきて初めて人を好きになった。
好きになった、それはいい。自分で言うのも何だがめでたいことだろう。
ただ、オレが好きになった相手に問題があった。
オレが好きになったのは、

「何さっきから見てんだテメェ、ぶっ飛ばすぞ」

男だった。
いや、ただの男だったらまだマシだったかもしれない。
ただオレが惚れた相手っつうのが、やがつく家業の跡取り息子で、性格も人相も目付きも手癖足癖も最悪で、ずっとお互い目の敵にしていたこの男、神崎だからだ。
ありえねえ。笑えねえ。自分でも泣けてくる。
けど好きになった。どうしようもない。
好きになったなら仕方ない、そんな気分だ。

とにかくお世辞どころか口が裂けたって可愛いとは言えない、この男をオレは好きになったわけで。
あれおかしいな、オレは胸がでかくて美乳の綺麗な女が好きだったはずだ。
なのに、何がどうなってこんな顔に傷のある目付きの悪い不良なんて好きになっちまったんだ。

「‥‥はああぁぁぁ」
「あぁッ?!てめ、何人の顔見て溜息吐いてんだこの野郎ッ!!」

深々と溜息を吐いたオレに神崎が可愛くない声で、可愛くない怒声を上げる。
なあオレ、いい加減目を覚ませよ。こんな野郎のどこが可愛いんだ。
ちらりと神崎を見ると、青筋を浮かべたままちゅーとお気に入りのヨーグルッチを啜っている。
‥‥ああ、こんな姿を見てあー可愛いなーって、オレもう死にたい。

けどしょうがない。可愛いって思っちまうんだ何か文句あるか!
じーっと神崎を見てると、また何だコラとガンを飛ばしてくる。
オレはガン飛ばしてたわけじゃねえんだけどな‥‥。
あーもうどうしよう。言っちまおうかな。
正直オレはこの神崎という男が欲しくて仕方がないんだ。
けど金の力で欲しいわけじゃない。
こいつの心も、身体も、人生も、すべてが欲しい。
あーもうどうしよっかな。言っちまおうかな。うん、そうしよう。
屋上にいるのはオレと神崎の二人。
いつも神崎にひっついている城山と夏目はいない。
絶好のチャンスだ。

「神崎」
「‥‥何だよ」

いざ声をかければ、神崎は警戒した顔でオレを見る。
何て言う?回りくどく口説くか?
けどこいつは馬鹿だから回りくどいのもわかりにくいのも駄目だ。
じゃあ、

「何なんだよてめえ、さっきから」
「神崎」
「だからッ「好きだ」

自分でも恥ずかしいほど真剣な声だった。
一方神崎は機嫌悪そうな顔から一転、ぽかんと口を開けてオレを見る。
あーもう、こんな姿も可愛いと思ってるオレはきっと救えない。
神崎は唖然としてオレを見て、やがてオレの言葉の意味を理解したんだろう。
そこでオレに一つ誤算が生じた。
てっきりオレは神崎が殴りかかってくると思ってた。
だってそうだろう。一時共同戦線を張ったとはいえ、今まで敵対してた奴に、しかも男に、女でもないのに告白されて。
オレなら殴りかかるどころかボコボコにする自信がある。
そう、殴られると思っていたんだ。
こいつが思いつく限りの罵声と一緒に、ストレートが飛んでくると思ってた。
オレの誤算は、それが飛んでこなかったことだ。

「な‥‥ッ!」

オレの目の前で、神崎はらしくもなくその顔を見事なほど真っ赤に染め上げた。
その様子を見て、ああこんな顔も可愛いななんて思ったオレは本当にどうかしちまったんだと思う。
一方神崎はオレの言葉に顔を真っ赤にして、しどろもどろになってあ、とか、う、とか意味をなさない一文字ばかりを吐く。
‥‥これは、期待してもいいんだろうか。

「神崎」
「あァッ?!」
「オレの今までの人生とか、これからの人生とか、プライドとか世間体とか、全部まとめてお前にすべてを捧げちゃったオレの一世一代の告白に対する答えは?」

こいつがオレのモノになるなら、オレはゲイだと後ろ指差されようが、今の何不自由ない生活を捨てたって構わない。
それほどまでに、この可愛さの欠片もないこの男が欲しい。
神崎はオレの言葉にさらに顔を赤くして、冷や汗をだらだら垂らしまくって俯いてしまった。

「神崎」
「‥‥‥‥オレだって、好きだ」
「え?!」
「‥‥‥‥‥‥‥‥多分」

てめえこの野郎今のオレの恥ずかしいまでに上がったテンション返せ。
青筋を浮かべるオレを見ずに、神崎は焦りまくってだって、と声を上げる。
あーもう、可愛くて仕方ねえなんて思ってるオレは本気で病院に行った方がいいんじゃねえか。

「わかんねえんだよ!」
「は?」
「お、オレは、今まで人を好きになったことねえから!だから‥‥ッ」

お前が好きなのかわからない、と神崎はか細い声で言った。
そんなのはオレも同じで、でもオレはお前が好きだって気付いた。
だってオレは、

気付いたらお前のこと考えてるし、

「気付いたらてめえのこと考えてるし!」

お前が誰かと話してたり一緒にいるのを見るのも嫌だし、

「てめえが誰かと喋ってたり、一緒にいんの見るとムカムカするし!」

‥‥一緒にいると何か安心して、もっと一緒にいたいって思うし、

「てめえと一緒にいると妙に落ち着いて、何か、その、もっと‥‥ッ!」

‥‥‥‥だから、お前のこと、

「だから、てめえのことっ、好きなんじゃねえかって、でも、そんなの」

絶対ありえねえって‥‥

「絶対、ありえねえって‥‥」

何だろう、オレまで顔が熱くなってきた。
きっと今オレの顔は神崎ほどではないにしても真っ赤なはずだ。
神崎は恥ずかしすぎるのか何なのか、最早涙目にすらなっている。
‥‥正直、押し倒したいほど可愛いって思ったよチクショー。
とにかく神崎がオレ以上に鈍感なのはわかった。あと見かけによらずウブだ。
だったら、一つずつやってみればいいんじゃねえか?

「神崎」
「あぁッ?!」
「手ぇ、握っていいか」
「あ‥‥あ?」

オレの言葉に一瞬ぽかんとして、神崎は自分の手を見た。
そうだ、最初から徐々にやってみればいい。
それで嫌じゃなかったら、きっとこいつだってオレが好きだってことに気付く。
‥‥‥‥はず。

「手ぇ、握っていいか」
「‥‥ッ」

神崎はさっきよりもさらに顔を真っ赤にして、けれども小さく、頷いた。
その様子にもうオレは開き直って可愛いと思いながら、その手をそっと握る。
なんなんだ、これ。
オレより小さいとはいえ握った手は柔らかくねえし、硬えし、ごつごつしてるし。
でもこんな手を握って、どきどきしてるオレは何なんだ。

「嫌なら、振り解けばいい」
「‥‥ッ!い、いやじゃ、ねえよ‥‥っ」

握っている神崎の手が、熱い。そして微かに震えている。
緊張してるのか、ドキドキしすぎてるのか。
後者だったらオレ、嬉しすぎて泣けるかもしれない。
震える神崎の手の甲を親指で撫でて、そっと指を絡めてみる。
神崎はびくりと大きく身体を震わせたが、それでも手を振り解かなかった。
このときのオレの頭は、誰もいない屋上で男が二人、手を握り合って赤面してるってことがどんだけ薄ら寒い状況かなんて気付きもしなかった。

「神崎」
「‥‥っ、ん、だよ‥‥ッ」
「抱きしめていいか」
「はぁァアアアッ?!!」

神崎は叫びながら伏せていた顔を勢いよくばっと上げてオレを見た。
もう首まで真っ赤になって、言葉にならないのか口をパクパクさせてオレを見る。
オレは神崎をまっすぐに見つめたまま、逆の手を神崎の頬に這わす。

「なあ」
「う‥‥っ」
「抱きしめていいか」

そう言って、その手を後頭部に回す。
染めすぎて痛んだ短い髪は、意外と柔らかかった。
その手にゆっくりと力を込めると、力の所為だけじゃないだろう、神崎の身体がぽすんとオレの胸に寄りかかった。
熱い、熱い、神崎の身体が熱い。けどそれは、きっとオレの身体も同じで。
不意に、戸惑いながら、恐る恐る俺の背中に回った神崎の腕に、きっとオレの体の熱は跳ね上がったはずだ。
何なんだよこいつ、なんでこんな可愛いことすんだよチクショウ。

「嫌じゃ、ねえのか」
「‥‥いや、なら‥‥んなこと、しねえよ‥‥っ」

そりゃごもっともだ。
神崎の心臓がバクバク鳴ってるのがオレに伝わる。
きっとオレの心臓も同じようにバクバクしてるのも、神崎に伝わってるだろう。
手ぇ握るのはOK、ハグも大丈夫。なら次は、

「神崎」
「‥‥あ?」
「キスしていいか」
「‥‥ッ!」

次は最早言葉にならなかった。
顔面真っ赤に染めてオレを見上げた神崎に、オレは切れそうになる理性を必死で繋ぎとめる。
頬に手を添えて傷跡を親指で撫でると、神崎の身体がびくりとオレの腕の中で跳ねた。
けど、オレの背中に回った腕には、力が篭る。

「神崎‥‥」
「ひ、めか‥‥わ‥‥」

ゆっくり、顔を近付ける。
神崎は逃げずに、けれども強くぎゅっと目を閉じた。
互いの吐息が、互いの唇にかかる。
ゆっくりと触れた引き結ばれた唇は、微かに震えていて、ヨーグルッチの甘い味がした。
触れるだけのキスなのに、お互いドキドキしすぎて肩で息をしながら、至近距離で見つめ合う。

「‥‥なあ、神崎」
「‥‥ん、だ、よ‥‥」





(次はSEXしてみねえ?)(死ねッ!!)


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拙宅の姫神馴れ初め話を妄想してみる。
何だこの乙メン二人組ww\(^p^)/
神崎はツンデレだろうけどデレ全開すぎる最早おま誰状態サーセンww
そして姫川が最低なんだかヘタレなんだかもうよくわかんない^^
とりあえず姫川は神崎の全力ツンと無自覚デレとたまのデレ期に悪戦苦闘してりゃいい(^p^)
そして神崎をグデングデンになるまで甘やかせばいいさ!!
男二人で屋上で手ぇ握り合って抱き合うって、何というシュール‥‥!(w


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