小ネタ置場
□アイシールド21:小早川セナ
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□「おはよう」□
今日も駅で見る、名前も知らないあの人。
背が高くて、顔立ちも整っていて、一流高校の制服に身を包んでいて、僕とは正反対の人。
だから、気になったんだと思う。最初は。
男の僕から見ても、あの人はすごくカッコいい。
たまに街でも見かけるんだ。
まわりには友達がたくさんいて、その中には女性もいて。
パシリだった僕とは違う。ずっと笑顔で対等な友人関係だった。
あの人と、一度だけ、話したことがある。話したと言うには大袈裟だと思うけど。
その日は寝坊してしまって、慌ててたんだ。
それでも何とか部活には間に合った。ヒル魔さんにはちょっと怒られたけど。
携帯がないことに気付いたのは放課後の部活が終わってから。
駅で一度時間を確認したとき、鞄に入れ損ねたんだ。
そう思って駅に探しに行ったけど、駅の暗い電気じゃなかなか見つからなくて。
半分泣きそうになって駅員に聞いたけど届いてないって言われて。
諦めようと思って改札をくぐろうとしたとき、後ろから優しく肩を叩かれた。
『ねえ、これ君のじゃない?』
振り返った先にはあの人がいて。
その綺麗な手に握られていたのは確かに僕の携帯で。
『ぼ、僕のです!』
『あ、やっぱり?朝そこで落とすの見てさ』
指差す方を見れば、確かに朝時間を確認した場所で。
『拾って声かけたんだけど、すごいスピードで走って行っちゃってさ』
足速いんだね、と言いながら、僕に携帯を渡してくれた。
『駅員さんに渡したほうがいいかな、って思ったけど。君が携帯ないことに気付いてないかもしれないから待ってたんだ』
『あ、ありがとうございます!!』
携帯を握って見上げた先には、すごく優しい笑顔。
喋り方も、すごく紳士的で優しかった。
それ以来、喋ってない。
ただ毎朝、同じ時間の電車で反対方向からくるあの人を見てるだけ。
喋りたいって思う。
もう一度お礼を言いたいけど、きっとあの人は忘れてる。
そんなこと考えてたら、ふとあの人が僕に振り返った。僕とばっちり目が合う。
どうしよう。気を悪くさせちゃったかな‥‥っ
どきどきしながら顔を逸らした。
ちらりと前を見れば、あの人が僕に近づいてくる。
「おはよう」
驚いて顔を上げれば、あの人が優しく微笑んでいて。
「今度は携帯、落とさないようにね」
その言葉に、僕は驚きすぎて何も言えなくて。
あの人は気にした様子もなくもう一度微笑むと、ゆっくりと歩いていってしまった。
覚えててくれたんだ。それだけで、舞い上がるほど嬉しくて。
明日は、僕から「おはようございます」って言ってみよう。
休みの日に、あの人と笑いながら私服で街をデートするのは、もう少し先のお話。
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5年近く拍手お礼に居座ってたネタ集その参。
ほのぼの‥‥でしょうか?;
こんな恋愛もいいんじゃない?みたいな。
この後セナと彼は急接近します。
だって彼もセナが好きなんだものw
ていうかこれを夢と言っていいのかわからない。
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