小ネタ置場

□ONEPIECE:第609話ネタ
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「ジンベエから伝言?」
「そうだ」

ルフィの怪訝そうな言葉に、リュウグウ王国王子フカボシが頷いた。
ルフィたちの勘違いもあって危うく一戦交えそうになったところだったが、フカボシの「ジンベエから伝言を預かっている」という言葉にルフィは拳を下ろした。

「ジンベエか。懐かしいな」

2年ぶりだ、とルフィは呟いて胸の大きな傷を撫でる。
命の恩人でもあり、心の恩人である友人のジンベエにルフィは会いたくて仕方がなかった。
しかし残念なことに、彼はもうこの魚人島にはいなかったのだが。

「それで、ジンベエから伝言って何なんだ?」
「‥‥きっと君が喜ぶと、そう言って笑っていた」


微かに笑って言ったフカボシに、ルフィは首を傾げる。
フカボシは先ほどまでの生真面目な表情に戻ると、ルフィの目を見据えた。

「詳細は言えない。ジンベエも、彼から聞いていないようだ」
「彼?」
「麦わらのルフィ」
「何だよ!お前!もったいぶんなよ!」

早く言えと急くルフィを、フカボシは慌てることなく見据える。
そしてその口を、ゆっくりと開いた。





「火拳のエースは生きている」





フカボシの言葉に、ルフィは目を見開いた。
目の前の男の言葉が、信じられない。
長い長い時間をかけて、ルフィの頭はゆっくりとその言葉の意味を理解した。

「‥‥え‥‥」

やがてわなわなと震える口を開いて、か細い声を上げた。

「エースが‥‥生きてる‥‥?」
「そうだ」
「そんな‥‥そんなわけねえだろ!だって、お前、エースは、おれを‥‥!」

一度は心が折れかけた記憶に、ルフィは思わず強く目を閉じて頭を抱え込みたくなった。
その衝動を、唇を噛み締めることで抑えつける。
その様子を、フカボシは慌てる様子もなく見つめている。
やがて小刻みに震えていたルフィの肩がとまると、彼はのろのろと顔を上げた。

「そんなわけ、ない‥‥エースは、死んだんだ」

おれを庇って、
やっとの思いでそう言うと、ルフィはまた強く目を閉じた。

「そうだ。そう、思っていた。あの場にいた全員が。だがあのとき、微かではあったが、火拳のエースは生きていた‥‥!」
「‥‥っ!」
「火拳のエースは生きている。今は‥‥わけあって革命軍に匿われている」

革命軍、その言葉に一瞬ルフィの頭にある男の顔が浮かんだ。
ローグタウンで自分を手助けした男。
モンキー・D・ドラゴン、ルフィの父だ。

「確かな情報だ。‥‥そうそう、火拳のエースから君に言伝を預かっているとも聞いた」
「え‥‥っ?!」

顔を上げたルフィに、フカボシは微かに微笑んだ。

「『ルフィ、次に会うときこそ、海賊の高みだ』、と」

その言葉と同時に、ルフィの脳裏に兄の笑顔が浮かんだ。
その瞬間、大粒の涙がルフィの頬を伝って滴り落ちる。

「え、エース‥‥エーズぅうう‥‥っ!」

その場に崩れ落ちて泣き出したルフィに、フカボシはそっと目を細める。
よかった、よかった、本当によかった、嬉しい、嬉しいと、ルフィは泣きながら何度も呟いた。
やがて長い時間をかけてルフィが落ち着いたのを見計らうと、それととフカボシが言葉を紡いだ。

「もう一人から、君に言伝を預かっている」
「もう一人?」

ずびっと鼻を啜りながらルフィはフカボシを見上げる。

「ジンベエに火拳のエースの無事を伝えた男だ」
「革命軍の奴か?おれ革命軍に知り合いなんていねえぞ」
「いや、だが彼は君にとジンベエに言伝を頼んだと言っていた」

フカボシは顎を撫でながらルフィを見る。
本当に心当たりがないのだろう、ルフィは腕を組んで首を傾げている。

「『ルフィ、お前、大変だったのによく頑張ったな。お前が強くなって嬉しい。おれもお前に会える日を楽しみにしてる』、と」
「それ、誰からだ?」

そう言われる覚えのないルフィは、さらに首を傾げる。
そう確か、とフカボシは一瞬視線を宙に泳がせた。

「『サボと言えばわかる』、と‥‥」
「‥‥っ!え‥‥?!」

突然顔をがばっと上げたルフィに、フカボシが心当たりがあるのかと振り返る。
ルフィの頬を冷や汗が伝う。
どくん、どくん、と重く跳ねる心臓に、ルフィは自分の息が跳ねていることにすら気付かなかった。
フカボシは訝しげな顔でルフィを見た。

「‥‥サボが‥‥生きてる‥‥?!」

やがて呟いたルフィの声は、ひどく掠れていた。


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なーんてね!なーんてねッ!!!
今週号のジャンプの最後のセリフ見て一瞬でこの展開になった(何)
今度はこの展開で号泣するんだ!!
畜生黒ひげ!赤犬!てめえらだけは許さねぇぇえええッ!!!
第五十九巻読み返して本気で海軍潰しに行きたくなった。胸が苦しい。そうかこれが憎しみか。


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