書斎

□僕らの数え唄
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「私的がんわーるど!」
ある寒い日曜の朝。僕は特にやることもなく朝っぱらから寝床で携帯を弄る。
カーテンから差し込む光がまぶしい。
といっても、日が差し込むのは一日にこの時間くらいしかないけど。
布団に足を滑り直して体を埋めると、
頭に何か固い物がぶつかる。
僕は半ばイラッとした気分でその無機物が何なのか確かめる。
「アリアンロッドリプレイ
銀の輪の封印」

僕の人生を狂わせた魔性の本。
TRPGという世界に引き込まれた最初のきっかけだ。
僕は、そのリプレイ本と呼ばれるゲームプレイ時の光景を着色、書籍化にしたものを読みあさる。

「懐かしいなぁ」


パラパラと流し見る僕。
昔の光景を懐かしむ。このTRPGをやってきたんだよね、今も。
最近、高校の同好会の会長、尾崎さんが[GUN WORLD]という新しいTRPGのシステムをデザインし、副会長である水戸さんにそのセッション光景を見せるためにリプレイを書いている。
[GUN WORLD]と言うだけあって、銃が戦闘での要。
でも僕は、馴染みのある、魔法のある世界で[GUN WORLD]が出来ないか思案する。
数分の思案。
刹那、合点。
作ろう、僕が[GUN WORLD]のサプリメントを。
いきり立つ僕はすぐに携帯に自分の中の構想を打ち込み始める。
幸い今日は日曜、暇な時間ならたくさんある。
「よーし、私的がんわーるど、作るぞッ!」

妙なテンションに見舞われたある日曜の出来事だった。
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