その先に
□第三話
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「――トリップだと?…それを俺に信じろと?」
「ああ、そうだ。別に信じなくてもいいぜ?
第一、一番信じれねぇのは俺の方だし
トラックに轢かれてなぜかこっちに来ちまったんだよ。
その時の傷のおまけつきでよ」
しばらく考えた後、
「…いや、信じるよう。
お前がウソを言ってるようには見えねえし、第一そう考えると話が合う」
やけにあっさりとこんなことをこの男はいいのけ、ニヤッと笑った
「!」
ちょっと拍子抜けした
ふざけるな、っていって殺されるのも半分くらい覚悟してたし、意外だったw
「ん…サンキューな(微笑)」
「!(ありえねえ。こんながきに欲情するとか…!)」
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「そういえば、お前どうするんだ?」
「何が?」
「自分のことだろ
お前がトリップしてきたんなら、帰る家もねぇだろ」
「あ」
「はぁ…(呆)」
「…」
「…お前はどうしたいんだ?」
そういえば考えてなかったが、俺には帰る家がもうないんだ
今、乗せてもらってるこの船だって俺の家じゃない、一時的な仮宿だ
そう思うと目頭が急に熱くなり、とうの昔に忘れていた涙で視界がぼやける
「お前さえよければ俺たちとくるか?」
低い声が響く
バッと顔を上げた
前髪のおかげで正面の外科医目は見えてないはずだ
「…っしょに…ぃきたい…」
フワッとゆれた大きな影は、俺の目元をぬぐい、
「決まりだ。(フッ
なんてつらしてやがる。」
と、また減らず口をたたく
涙は隠せていなかったらしい
ちょっとばかし、こっぱずかしかったが、
「今日からお前はハートの海賊団のクルーだ」
と、欲しかった言葉をくれた。
それでもう、どうでもよくなった。
初めて感じる、心が満たされる感覚。
「おう!」
トリップしちまったもんは仕方がないから、ここで新しい第二の人生というヤツを始めていこう