空白の一年捏造虎兎

□温かな日々
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バーナビーの突然の訪問から約二週間が経った。
結び直された絆は固いようで、今では電話やメールを頻繁にしている。
時々は、家族の前でもお構いなしだった。
とはいえ、話の内容は家族に聞かれてもいいようなもので、虎徹のやに下がった顔がなければ仲の良い親友のような会話だった。
本人も自覚があるのか、たいがい電話している時は家族に背中を向けている。
安寿はどうか知らないが、楓は一度、その時の虎徹の顔を見てしまった。
チラリと目に入っただけで虎徹も気付かないようだったから、わざと視線を逸らして知らないふりをした。
本人には言わないけれど、父はスタイルも良いし背も高い。歳の割にはお洒落だし、黙って堂々と立っていればモデル並みだと思う。
それに、とても若く見える。
いい加減な所さえなければ自慢の父親だ。
娘の自分がそう思うのだから、大人から見ても多分魅力的なのではないか。
そう常々思っていたから、近いうちに付き合っている人がいるとか、再婚すると言われても驚かない心構えはあった。
だがしかし、相手如何によっては反対することも考えていた。
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