【幕恋宵物語】

□石に花を咲かせたい
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『…ん〜、呼んだかの?』


半分寝ぼけた焦点の合わない眸と、鼻に掛かった掠れ声でとろりと問われる


『呼んだ呼んだ、呼びましたっ!良かったぁ、やっと起きてくれたんスねっ!!もう、ほらっ早くこの手を放して下さいよ!』


この機を逃してたまるかと矢継ぎ早に畳み掛け、解放を求め促す…が


『………じゃ』

『はっ?何ですか?』


何故だか不機嫌そうな顔でぼそっと話す


よく聞き取れなくて、聞き返そうと見上げた途端に、ぐっと乱暴に両手を掴まれ


…気付いた時には布団の上に組み敷かれていた


『……な、何するんですか!?』


慌てて腕を引き抜こうとしたが、ぎりりと押さえつける力は、馬鹿みたいに強くどうにもならない


『嫌じゃ…と言うた…』

『…は?』


必死にもがく俺の耳にも、今度はちゃんと聞き取れたけれど、言われた言葉が頭の中でうまく意味を成さない


『あ、あの…』

『漸くワシのもんに出来る絶好の機会に巡り合うたんじゃ、離さんちや』

『っ!?ワシのもん…て?』


唖然として力が抜けてしまった身体に、龍馬さんがすかさず馬乗りに覆い被さると強引に唇を重ねてくる


『っ!?…な、何…んんっ』


突然の行動に驚き、叫ぶ為に開いた隙間に、無理やり入り込んできた熱が深く繋がり、絡み付く


『…逃がさん…ち、言うた』


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