めいん

□ギルド
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代表という仕事を与えられてどれくらいだ。

相応しいだけの人望と羨望。

貰った気は少しもしない。

いつの間にかの思い違い。


「俺の目標目的であって、仕事ではない」


解っていた。

それもどうやら手遅れだ。

仕事でしかなくなっていた。


悲しいんじゃなくて疲れただけ。
休みをください?

誰に言うつもりだろう。


犠牲にしてきたものは何だ。

奪われたのは何だ。

自由、時間、信用?

奪い取ったのは何だ。

権利、威厳、信頼?

裏切りを繰り返して、少しずつ 忘れたんだろうか。

汚れちゃったのはどっちだ。

世界か自分の方か。


「・・・いずれにしても、その瞳は開けるべき」


真実から目を離さないで、私を見て。

馴染みの聲が言う。

昔と変わらぬ音程口調が脳裏に焼き付く。

それが全て、気が狂う程まともな日常。


目を閉じて思い出す。

喧嘩に明け暮れたあの日々を。

枯れたナニカを満たすための暴力的な反抗心。

俺は腹を空かせた抜け殻。

動かないで、餌を待って。

誰か構ってくれないか。

頭の中まで白くなれるその行為を、喋らないで思っているだけ。

神童という仕事をクビになってどれくらいだ。

とりあえず汗流して守るように努力をしたつもりでいただけ。

何処までも下劣な俺の過去。

見下して優位に居るつもりでいた。

沢山の人のブライドを破り、大切な物を奪ってきたんだ。

思い出したんだ、色んな事を。

汚い俺の事。


周りの奴等は皆輝いている。

俺の欲しくて堪らない強さを持っていた。

向き合えるのかその沢山の眩しさと。


俺の心は醜悪で美しくなんかなくて。

自分を好いてくれる子に優しくも出来なくて。

それでも呼吸が続く事は 許されるだろうか。


その場しのぎで笑って、鏡の前で泣いて。


「・・・当たり前。隠してるから気付かれない・・・」


夜と朝をなぞるだけのまともな日常。


そんな俺を好きだと言うのは何故だ。

全て勘違いなんだ。

そうだ、俺が誰からか愛されることなんて無いんだ。

その資格なんて無いんだ。


「・・・自分を守るため逃げ込んだ檻その隙間から引きずり出してあげる」


汚れたって受け止めて。

世界は自分のモノ。

構わないから、その姿で生きるべきなんだよ。


それも全て、気が狂う程まともな日常。


与えられて、クビになって、どれくらいだ、何してんだ。

望んだんだ、選んだんだ。


「仕事ではない」


解っていた。





ギルド@BUMP OF CHICKEN

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