めいん
□夢の終わりの夢を見た
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あの日僕は夢を見たんだ。
とても滑稽で幼稚な夢を。
***
真っ暗で冷たい場所に僕は居た。
周りに物は何もない。
閑散と静寂に包まれた其処を、世界の終わりみたいな場所だと客観的に思った。
急に心細くなり辺りを見回す。
しかし、相変わらず何もない。
誰か居ないの、と。
咆哮してみても自分の声が唯反響するだけ。
そしたら凄く、虚しくなって。
することもなく唯その場に座り込んだ。
『明久!』
急に聞き慣れた声に名を呼ばれる。
それだけで色付く世界に我ながら現金な奴だとも思う。
『明久っ、おい!』
なおも声は続く。
けれど躯は泥沼に浸かっている様に重たくて。
本当は声に向かって走りたいのに、言うことを聞かない。
『起きろっつってんだろ!』
加わる衝撃、骨の軋む音。
生命活動に多大なる危険を感じ飛び起きる。
「たく、世話焼かせんじゃねぇよ」
「君っ、だれ!?」
夢から醒めた筈なのに有り得ない状況が続いている。
此処は確かに自分の家、自分の部屋の筈なのに。
真っ先に目に飛び込んできたのは、見知らぬ女の子だった。