めいん

□どうしてこうなった
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朝、学校に来たら可笑しな討論が繰り広げられていた。

その主題は登校してきたばかりの筈の俺。

当事者が居ない間になにやってんだ…とも思うが、

出来れば今からでもこの場から立ち去ってしまいたい、そんな激情。

「いや、雄二の一番の親友の僕だね!」

馬鹿、もとい明久が声を荒げて言う。

「雄二の一番の親友はワシであろう。何をほざいておるのだ」

我がFクラスの希望の星(アイドル)である秀吉が黒さを微塵も隠さず宣う。

「なに言ってるんですか!親友だからって限らないじゃないですか。それに、そう。親友じゃない方が寧ろ…」

姫路が顔を赤らめながら熱弁する。


こいつらが何を争っているかと言うと、凄く下らない内容。

誰が一番俺の良さを知っているかだと。

俺の良さなんてねぇんだから知ってるも何もねぇだろうに。


ため息を吐いて、横目に喧騒を見る。

「私以外考えられない」

「ボクはー、雄二クンの男らしいところが魅力だと思うな」

「私と秀吉を一度も間違えないところ…とか?あと意外と一番の常識人」

「僕は他人の個性を受入れ否定しない所が良いところだと思っている」

当然のように居る翔子や工藤、木下、久保に対し誰も突っ込みを入れない辺りいっそ清々しい。

だが久保、お前は明久んところ行ってろ。

「…髪を下ろした姿と引き締まった体と意思の強い瞳、自信に満ちた口元。さらに時々見せる邪気の無い笑顔は即死もの…」

ムッツリーニ、お前エロ以外でもそんなにすらすら喋れるんだな。

「知ってた?意外と俺と坂本って仲良いんだぜ」

自分で意外って言っちまってる時点で勝機はねぇぞ須川。

「容赦の無い鬼畜っぷりに俺は」

げっ、根本まで…

誰でも有りなのかこれは。


増えていく人の波に、朝の機嫌の悪さも加わって段々と煩わしくなってくる。

其にも構わず続く行為に、俺の存在は無いに等しい。

こいつらは、唯騒ぐ材料が欲しいだけなのだと重々理解。

だったら他の人でやってくれと心の中で小さく抗議。

勿論誰にも届かない。


「坂本、暇?」

そんな時にひょっこりと顔を覗かず島田。

自販機行くんだけど…

何て良いタイミングの誘いに乗らない訳がない。

「おぉ、じゃ付いてく」

やっとこの場から逃げられると腰を腰を上げる。

戻ってくる頃にはこの喧騒が丸っと消えていれば良い。


俺には皆が盛大に舌打ちをした事と島田の勝ち誇った笑顔の理由はわからなかった。




以下私伝です→
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