めいん
□暴食が対価
1ページ/1ページ
躰の痛みで目をさました。
フローリングで寝ていたからか、無理な体勢を続けたからかは定かではないが、体が面白いぐらいに軋んでいた。
朝には、なったようだけれど、当たりは暗い。
雨戸、昨日閉めたっけな…。
思考を巡らせてみても、答えは見つからない。
せめて電気を付けようと、無機質なリモコンに寝っ転がったまま手を伸ばす。
二、三度瞬いて、ゆったりと世界は色付いた。
そして目の前には、ブサイクもとい、雄二の顔。
電気を付けても、ピクリとも反応を示さない無防備なアホ顔。
そういえば、雄二は寝起きがわるいんだっけ。
目の前にして、改めて認識をした。
なんか、意外だな。
僕に雄二は、図太くみえて実は神経質。
器用に見えて、実は不器用。
そして、武骨な優しさを持っている人間に見えている。
だから、寝起きが悪かったり、無防備な姿をみると変な気持ちになるんだ。
強化合宿の夜を思い出す。
あの時も、目を開けたらすぐ傍に雄二の顔があった。
ほんのり色付いた頬、柔らかそうな唇。
やばい、少しだけドキドキしてきた。
あの時と同じ状況、違うのは周りに人がいないってこと。
触っても、起きないだろうか。
大体、こんなに無防備なのがいけないんだ。
寝ている人間に何かするなんて最低かな。
いや、でも、少しぐらいなら赦されるかな。
二人の距離が近づいてく。
あと数p、あと数o。
寝息が僕に触れる。
雄二の温度も、全て伝わってきそうで。
ごめん、雄二。
我慢出来ないや。
目を閉じて、口付けをしようとして…止めた。
なんだか、凄く悔しくて、なんだか凄く惨めに思えた。
それでもこの気持ちは押さえきれなくて。
気を紛らわすために、朝ごはんを食べ過ぎて雄二に呆れられるのはまた別の話。
そう、気持ちの捌け口だよ!!