めいん2

□これは是非とも警察に突き出さなくては、と後を追う
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2.私を飲んで

雄二は、ウサギの後を追っかけて野原を横切り、それが茂みの下の大きなウサギの穴に飛び込むのを、ギリギリのところで見つけました。
次の瞬間、雄二もその後を追っかけて飛び込みました。
一体全体どうやってそこから出ようか、なんてことはちっとも考えて無かったのです。

ウサギの穴は暫くはトンネルみたいにまっすぐ続いて、それからいきなりズドンと下に下りていました。
それが凄くいきなりで、雄二が止まろうと思う暇もあればこそ、気がつくとなにやら深い井戸みたいなところに落っこちているところでした。

下へ、下へ、もっと下へ。
そしていきなり、ズシン!ズシン!
雄二は小枝と枯れ葉の山のてっぺんにぶつかって、落ちるのはもうそれっきり。

怪我は全然なくて、すぐにとび起きました。
見上げても、頭上はずっとまっ暗。
目の前にはまた長い通路があって、まだ白ウサギがその通路を慌てて走っていくのが見えました。
これは一刻も無駄に出来ません。
雄二はびゅーんと風のように駆け出して、丁度ウサギが角を曲がりしなに

「やれ耳やらヒゲやら、こんなに遅くなっちゃって!」

と言うのが聞こえました。
その角を雄二が曲がったときには、かなり追いついていました。
が、ウサギがどこにも見あたりません。
そこは長くて天井の低い廊下で、屋根からランプが一列にぶら下がって明るくなっていました。

その廊下は扉だらけでしたが、どれも鍵が掛かっています。
雄二は、廊下の片側をずっと辿って、それからずっと戻ってきて、扉を全部試してみました。
どれも開かないので、雄二は廊下のまん中を歩いて、一体どうやって此処から出ようか、と思案するのでした。

そこで、机の上に置かれた飲み物を見つけます。
そこには掠れた印刷で、私を飲んで、と書かれています。
そしてその瓶のそこには、なんと金色に輝く鍵があるじゃありませんか。

「つまりは、これを飲み干せば鍵を取れると言うわけか」

だからといって直ぐに実行するほど雄二は早とちりではありません。
飲まずに鍵を手に入れようと、瓶を地面に叩きつけてみたり、液体を床に捨てようとしてみたり。
けれど不思議なことに、どれ1つとして上手くいかないのです。

仕方ない、と再びテーブルに瓶を置いた雄二は、
 →それを一気に飲み干した
 →それを置いて諦め

ました。

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