めいん2
□タユタ
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揺れたこの思いの向かう先を、なにも言わず見つめている。
この星は今日も俺達を回す。
振り落とされないようにしがみつくけど。
掴まった先はアイツの小さな手で、其を守る素振りで握りしめる。
「…愛している」
そう淡々と告げる少女は、遠い昔の遺産。
苦い思いでの化身。
「そうか…。俺もだよ」
微笑んだ彼女と裏腹に、俺の心は冷えきっていた。
なにが、愛しているだ。
そんな資格、俺には無い筈なのに。
華奢な手をやさしく包む。
あの日、守れなかった大切な人。
今度こそ、護りたいと思った。
だけど、本当は何処かで気付いていた。
いつだって、この真っ直ぐに好意を寄せる彼女に護られて居たのは。
いつだって、俺の方だったんだ。
「翔子、愛している」
それでも、言葉を紡ぐのは。
枯れた言葉でも、言い続ける意味は。
思い出が光る前に俺を見て欲しかったから。
震えたその手だけは繋いでいて欲しい。
言葉だけじゃいつも伝わらないのは、その先の行為を知ってしまっているから。
震えていたのは、そう俺の手の方だ。
タユタ@RAD WIMPS