めいん2

□転、点、辿
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空、殻、乾。
普遍など存在しないから。
ウチたちの関係は何処までもカラだ。

Fクラスという大雑把な括りはあるけれど。
来年になればどうなるかなど分かりはしない。
違うクラスになってしまえば、とたんに敵同士。

共に走る為の足は在れど、繋ぐ為の腕などありはしない。
そんな皆を結ぶ糸は儚く脆い。

「島田と明久、お似合いだとおもうが?」

聞き流した筈の台詞は反響し反芻する。
その言葉に安堵した自分も居た筈なのに。

いつの間にか、違う意味合いを持った。
思えば、自己暗示に近かったのかも知れない。
この想いは。

アキの事を好きだと繰り返した日々。
そして、坂本の姿が目に焼付く未来。
どうしてかな。
こんなこと、今までは無かったのに。

曖昧で朧気で有耶無耶な。
どんな形容詞を用いても、この漠然とした不安を表す言葉は見つからない。
可笑しな話よね。
世界には途方も無い語が溢れているのに。
きっと、それはウチが日本語が苦手だからではない。

有名な歌手の旋律に思いを重ねてみるけど、やはり同一ではない。
果てしなく似ているけど果てしなく離れている。

皮膚の下に蔓延るのは、赤い錆。
そこは皆同じ筈なのに。

現実逃避と責任転換を繰り返す。
自分が一番可愛いから、
他者嫌悪と他人否定をやり直す。

味方が沢山欲しいから、
自己主張と正当主張を喚き叫ぶ。

人間って皆、そんなもんでしょ。

自分が嫌いな自分が好きなんでしょ。
自分自身に酔っているんでしょ。

元気になろう。
もっと上手に笑おう。

そうすれば、ウチを好きで居てくれる?

迷惑をかけたくない。
心配されたくない。

そう思ってる、ウチが好きなの?

自分自身に問い質す。

ウチが一番好きな人は一体誰…。

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