めいん2

□秘めた想い
1ページ/1ページ


例えば誰かがこの手を握り返したとして。
私は其に見合うだけの何かを返せるのか。

例えばこの手がアナタに届いたとして。
傷付けないで居られる保証なんてないのに。

例えばこの聲をあの人が聞いたとして。
いつものあの笑顔をくれるのだろうか。

例えば、例えば、例えば。

幾つ重ねれば現実になるのかな。
どんだけ願えば叶うのかな。

神様は留守ですか?
それとも私ではない誰かを救っているのですか?

「姫路、いつもありがとうな」

優しい微笑みで、声をかけてくれる。
貴方は、いつも私を気遣ってくれて。

「いえ、これぐらいしか私には出来ませんから」

感情を隠して笑う私はずるい。
あの人のように、自分の思いを告げることも。
態度で示すこともしない。
隠して、隠して、隠して。
叶うわけ無いんだって、自己完結して。
初めから戦う気なんて無いくせに。

それでも、貴方に頼られていることを誇りに感じて。
隣で笑うのが私ならいいのに、何て考えて。
浅ましい想像までして。

嘘つきな私の本当の心。

坂本くん。
私は、貴方のことを。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ