めいん2

□プラトンって、肩幅って意味だって知ってた?
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賢くなった振りして笑って。
根本的なものは何も変われて居ないのに。
君は愚鈍で僕は愚直だ。

愛も欲も君は無いと笑うのに。
触れ意味は確かに在ると言う。

狭い脳みその中では、答えは出ないのに。
君は難題を僕に押し付けるんだ。

「プラトニックってやつ?」

行為が無くても半身であるからして。
傍に居るだけで愛を見せ付けられる。
そう謂う僕の解釈が間違って居たとしても、最終結論は同じ。
雄二はニヤリと笑って応える。

「おお、馬鹿にしては良く分かってるじゃねぇか」

僕に触れる雄二の手は暖かい。
それが一層寂しさを掻き立てる。
触っているのに、触れていない。
そんな、矛盾を孕んだ因子。

悲しみに染まる青い世界で。
僕らは出会い、未来を紡ぐ。
確かにね。
僕らが孕む明日は皆無。
子孫を残す能力も無い行為はどこまでも無駄。

行為そのものが愛だと歌うのならば。
強姦で子供が出来る筈なの無いのだから。
将来を誓わないくても出来る。
それも一つの事実で。

そして、逆に。
愛があろうと行為に及ばないことが僕らの愛の証。
世間とは逸脱した恋の行方だと笑うのなら。
雄二の言い分にも一理はあると思う。

それでもね。
僕は、少しでもこの愛を形にしたいと思ってしまう。
半身を純愛を突き詰める雄二には悪いかもしれない。
この心のそこで燻る炎は消える様子など無い。

何かを掴もうと伸ばした手は虚像に触れる。
曖昧な自己愛は、残酷なほど冷たい色をしていた。
朧げに地を照らすのは、褐色の光。
誰の為でもなく存在する命の焔。

必要とした分だけ、喪失感は強いし。
無駄を繰り返す世界に嫌気が指したのも事実。
何も望まなければ。
傷付くのは他人で完結。

僕らが願った神というモノの存在も。
誰もが見たことのない偶像に酔った。
どこに居るのかも分からない絶対に縋る僕らを。
きっと、見下ろして笑っているんだ。

だから、足掻くのも止めてしまえば。
辛いことも、悲しいことも、無くしてしまえば。

来世なんてないし、天国も地獄もない。
そう思えれば今を精一杯に生きれるのかな。

「いっそ、この手を振り払ってくれればいいのに」

僕がポツリと呟いた声を、聞かない振りをして雄二は笑う。
全てを拒絶して、否定してくれれば。
僕も新しい生活を迎えられるというのに。

僕にとって、行為が全てというわけではないけれど。
それでも、期待してしまうのは雄二が好きだからで。

雄二にその気が無くても、僕は、繋ぎたいと思ってしまうんだ。

「…まぁ、気が向いたら相手してやるよ」

口を尖らせた僕に、勝気な微笑みで雄二は言ってのける。

「ほんと!?」

「精精頑張ってその気にさせてくれよ、明久」

そういって肩を叩いた雄二に僕の機嫌は鰻上りだ。
プラトニックなんて吹き飛ばしてしまえ。
僕の本気を、見せ付けてやる。

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