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□女王の五玉
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アトリシオンの海上。
波に揺れる船の甲板にパティとセネルはいた。
「今日はありがとな。パティ」
「構わんのじゃ!ウチも海を荒らす輩は許せんからの」
この船は謂わば、『海賊船』。先ほど二人が仲間とともに制圧したのだ。
「ったく。資源輸出入船まで狙うとはな…」
「呆れた奴等じゃ。あの船は国一の警備がされておるのにの」
その資源輸出入船が海賊の出る海域を通らなければならないということで、二人(マリントルーパーとギルド)に依頼がきた。
二人の目の前には押収した、盗品や武器の山。
これからこれらを仕訳しなければならないのだ。
「俺はこのあたりから片付ける」
「うちは裏から行くのじゃ!」
作業を始めた二人だが、やはり、パティも“海賊”。ザクザク出てくるお宝にはしゃぐ。
「ほう!これまた立派な宝刀じゃのう……お?これは……」
彼女が見付けたのは細やかな装飾を成された白金に、水中から見上げた水面のように輝く宝石がはめられた首飾り。
「見事なものじゃの〜」
首飾りをよく見ようと顔に寄せた。さらに宝石が輝いた気がした。
その輝きを見たあと、パティの意識は知らぬ間に途切れた。
「おい、パティ!あんまりのんびりするな、よ……?」
宝を見つける度、聞こえてきたパティの声に、作業を促そうとセネルはやって来たのだが、そこに彼女の姿はなかった。
「パティ……?」
薄暗い洞窟に少年三人のため息が満ちる。
「どうするのさ、この状況」
「どうって……わかんないヨ」
「暗いし、武器も持ってないもんなオレたち」
上からジーニアス、マオ、ルークだ。
もうっとジーニアスがマオを睨む。
「だからボクは止めたんだよ!」
「う゛……ゴメン」
「そう言えば、マオが取ったのなんだったんだ?」
「なんか指輪みたいだヨ」
三人は先程まで古城で遊んでいた(ジーニアスは姉のこともあり止めていたが)。そこで、マオが彼が操る炎のように赤い宝石がはめられた指輪を拾ったのだ。
そして気付くとこの、薄暗い洞窟にいたのだ。
途方に暮れ、唯一の光源である光る不思議な苔を見つめる三人。
誰からともなく腹の虫がなく。
「ユーリ、心配してるかな……」
遊びにいく際、おやつの時間に一度帰ってこいと自分たちを見送ってくれた彼を思い出す。彼の作るお菓子の味も。
再びなく腹の虫。
「ラピードとノイシュと遊んでればよかった……」
「ミュウも置いてきちまったし」
「お菓子食べたかった……」
三人の声は虚しく響いた。
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