TOU

□大家族の朝は毎日嵐。
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「よし!」

朝食を作り終えたユーリが満足そうに笑った。
だが、すぐに真剣な顔になり車輪を回す。
向かった先はあの親子の部屋。
手にはフライパンとおたま。それを思いっきり打ち鳴らす。『死者の目覚め』だ。
けたたましい音が家中に響き渡り、二階、三階に寝ていた者は飛び起きた。

上の階で起床準備をする音を聴きながら、ユーリはスタンの部屋に入る。
彼は眠そうな目をしながらも、ベッドから降りていた。

「あ、おはようユーリ」
「おはようさん。早くしないと朝飯食いっぱぐれるぞ」

挨拶をすまし、次はカイルだ。
彼はベッドに座ってボーっとしていた。

「カイル!シャキッとしろ!!朝飯抜くぞ!」
「っ!それはだめ!!」
「よし、起きたな」

そう言って笑うと、彼は恥ずかしそうに頭をかいた。
早くしろよ、と部屋を出るとクレスとアスベル、ヴェイグが降りてきていた。

「おはよう。ご飯、運んどいたよ」
「お、サンキュ」
「二人は起きてたか」
「ああ、カイルは危なかったけどな」
「あれで、起きないって……」

話しているとリッドとミラが降りてきた。

「お、今日は和食か」
「味噌の良い臭いがするぞ!」
「お前ら、まだ食うなよ?」

席についた途端、食べようとする二人にユーリがストップをかける。
不満そうな二人をクレスが宥めていると、残りの三階組と、セネル、ルーク、カイウスが降りてきた。

「……体が痛い」
「あんなところで寝てりゃ痛くなるだろ」
「階段で寝るのは危険だよ」
「ってかセネルの部屋って一階だよな……」

昨晩のセネルの寝場所は二⇔三階段だったようだ。
七人が席についたところでスタンがやって来た。

「みんなおはよう……ってあれ?三人は?」

自分が最後と思っていたようだ。
息子のカイルたちの姿が見えず、スタンが首を捻ったところで、バタバタと足音がした。

「「「まだ食べてない(よね)(よな)!?」」」

三人が叫びながら駆け込んできた。
その様子に朝から騒がしい奴等だとユーリは笑った。

「よし、みんな揃ったところで……いただきます!」
『いただきます!!』

スタンの音頭で始まった食卓は騒がしいものだった。




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