学校の日常30
□風に飛ばされたテスト
1ページ/1ページ
ジージーとセミが鳴いている。
靡くカーテンの隙間から時々覗く外の景色は揺れていた。
(今日は一段と暑いなあ…)
第二ボタンまで開けたシャツで扇ぐが、涼しくなる気配は微塵もない。
窓側から二番目の席であるため、まだましだろう。
そう思いながら目の前に置かれたテスト一式をみつめる。
(もう、書き終わったし、寝ようかな…)
佐助はダラリと両手を下げた。
もう、何もやる気が起きない。
全てこの湯立つような暑さに持ってかれた。
(だから嫌なんだよね…前期末考査って…)
はあ、とため息一つついた。
それに合わせるように、ブワリと視界を覆った日に焼けたカーテン。
それが意味するのは、突然の強風。
パサリと乾いた音が自分の足下から聴こえた。
呆然と見つめた机の上にはシャーペンと消しゴムだけ。
先程より大きく長くため息をつく。
(ほんと、この時期のテストなんて大嫌い)
そう思いながら、ダラリと手を挙げる。
せんせー。テスト取ってくださーい。
風に飛ばされたテスト
_