イナイレ

□第二日曜日
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あるファーストフード店の一番奥の広い席に座っている4人の中学生。
ゆりはシェイクを飲みながら目の前でケンカをしている2人をただただ見ていた。


.+母の日+.


「おい、何で俺らをここに誘ったんだ?しかもこのメンバー…。」


佐久間は店の中にもかかわらずにケンカする南雲と涼野に目をやる。


「いやー。ちょっと聞きたいことあってさー。」
そういって無理やり南雲と涼野を引き剥がし、間に入るゆり。


「なにすんだ!!」
「そろそろやめてくんないかなぁ。いいじゃん同じセット頼んだくらいでそんなさぁ。」
「ゆりの言うとおりだぞ効果音。」


効果音って言うな厨二野郎。黙れチューリップ。
ゆりが間に入っても2人はケンカを続ける。
そろそろまわりの目が痛くなってきた佐久間は話を変えようと必死だった。


「あ〜…。ところで話戻るんだが、なぜこのメンバーを集めたんだ?」


そう聞くとゆりは待ってましたと言う顔をして飲んでいたシェイクを机に置く。


「実はさ…母の日じゃん?今日。」
「母の日?」


ゆりは少し恥ずかしそうにうなずく。
「それがどうかしたのか?」
「ていうか俺たちには母親なんていねぇから関係ないぞ。」
南雲と涼野が少し悲しげな顔を見せる。


「あ、そうじゃなくてさ、なんかそんな感じの人が近くにいるでしょ?お母さんみたいな存在。」
それを聞いて3人は首をかしげた。


「佐久間なら源田、二人ならてるみん(神)がいるでしょ?それと同じであたしにもそんな存在がいるのさ。」


3人は少し考えながら、確かにとうなずく。
だからどうしたというやつもいるが。


「お母さんだけじゃなくてこれを機会になんか渡したいなぁ…なんて思って、3人ならなに渡すかなぁって。」
ゆりはまた恥ずかしそうにシェイクを手にとる。


「俺ならあいつに服買うかな。」
南雲が腕を組んで、うん、とうなずく。
涼野もうんうんとうなずく。
「なんで服?」


そう佐久間が聞くと南雲と涼野があきれた顔をして
「あいつは女だから。」
と答えた。


ゆりと佐久間は、え、と言う顔をして2人を見る。
「あの、お二人さん。てるみんは見かけは完璧女の子だけど中身は完璧じゃないけど男の子だよ?」


「知ってるさ。でも最近中身まで女らしくなってきた。」
涼野がフっと笑う。
「と、いいますと?」


「なんかやたらと買い物が好きで、服を買いに行くのも男物じゃなくて女物なんだよ。」
「しかもこの前なんか私たちが目を話した隙にナンパにあっていて、普通なら男だから逃げることは可能なはずなのだが、あいつはわざわざ私たちの助けを待っていたんだ。」
「彼氏とか言ってな。まだあるぜ?」
2人はその話で盛り上がり、またぺちゃくちゃと話始めた。


「…佐久間。あんたも気をつけなよ?」
「お前は俺を何だと思ってんだよ。」
「見た目は女、中身は男、その名も、佐久間次郎!」
「よし、気は済んだか。」


ノリ悪ぅーと、目を細める。
「お前のその母親的存在は誰なんだ?鬼道か?」
「有人は違うし。あんね、なっちゃん。」
一瞬、誰だと思ったが、すぐにあぁと思い出す。


「雷門夏未か。」
「そうそう。」
「確かに雷門は難しそうだな…。」
でしょでしょと机をたたくゆり。
佐久間はひじをついて考える。


「あぁ、あれだ。日傘はどうだ?あいつしょっちゅうさしてたよな。」
あぁと目を開くが何かを思い出してがくんと下がった。


「最近新しいの買ってた…。」
「じゃあ料理の本とか。」
「イヤミかしら?とかって言われそう。」
「じゃあー…服。」
「たくさん持ってる。」
次々と言っていくがすべてだめだった。
だんだん疲れてきた佐久間は、投げやりになり


「じゃあもう定番の花!!」
というと、思いのほか好評価だったらしくゆりが顔を輝かせている。


「それだ…それだよ佐久間!!!!」
さすが女男だ!といって肩を正面からたたく。


「女男は余計だ。」
「うんうん!!すんごい花束にする!そうと決まれば…。」
にやっと笑みを浮かべて盛り上がっている2人の腕をつかみ立ち上がる。


「おい、ゆり、どこにいくんだ?」
どこかに行こうとするゆりに佐久間があわてて食べ物の包み紙やら何やらを片付ける。


「花!選ぶの手伝って!!」
あたしこの荷物持つから佐久間はあたしたちの荷物持ってきてねといってゆりは南雲と涼野の腕をひっぱる。


「それは荷物じゃないだろう。」
荷物をもち、ゆりの後を追いかけながら、源田のも選ぼうと考えた佐久間であった。

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