最遊記

□肝試しは夏のお決まり。
1ページ/3ページ















「せっかくの夏なんですから、肝試しなんてどうです?」
















そんな、悪魔のような声が
私の中で反響する。








「肝試し?…む、無理だよっ!!!」






「なぁに?蒼空ちゃん怖いの?」





とある村の宿屋でのこと…
八戒が言い始めた、聞きたくなかった言葉。

私の苦手な幽霊。







「ち…違いますっ!!」







ちょっと強がってみたりするけど…





「じゃぁ、なんだ」







「私は、目に見える物しか信じません」





正確には、信じたくない…
が正しいかもしれない。







「信じてねーなら怖くねえじゃん!」








「…だ…だって…」





違うんだよ…悟空。
ほんとはスッゴく怖いんだよ。







「じゃぁ、蒼空…お留守番お願いしますね。」






「…えっ!?みんな行くの!?」








「なんかおもしろそーじゃん?」






「蒼空、いかねーのか?」





「怖いなら無理してこなくていい」




さ…三蔵まで…。










バタンと閉じられた扉は、
永遠に開かなさそうで…
怖くなる。



1人は怖い…。





意地と、恐怖が
私の中で戦ってる。












「ちょっ…ちょっと待ってよーっ!!!!」




恐怖の勝ち。





私は窓に向かって走り、
ちょうど下を歩いていた悟空達に向かって
二階からダイブした。






「なッ!?!?」


悟空がとっさに私を受けにくる。




ドサッ




と、受け止められ…






「危ねぇじゃんかっ!!蒼空」




と怒られる。









「…おいていく悟空が悪い」



なんて、口を尖らせて拗ねると…






「すいません、でもそれ…僕が提案したんですよ?」



横から八戒が言った。









「…どういうこと?」





悟空の腕から降りて…
八戒に聞く。






「蒼空を誘き出す作戦です」








「はぃい?」











「蒼空ちゃんなら、意地張って行かないとか言い出すだろうってな」




悟浄も楽しそうに
笑いながら言う。







「それにまんまと引っかかったわけだ。」





三蔵もいつになく楽しそうに…
笑っている。







「まっ…まじかよっ!!意地悪っ!!」




と、先を歩くみんなに向かって叫ぶ。







「ま、蒼空…なんか出ても護ってやっからな!!」




急に振り向いて、悟空はそんなことを言う。






「…………うん…///」




恥ずかしくて目を逸らしてうなずく。






「甘ったるいですねー」





「ほんと、くそ甘」






「……」




そのシーンを見た3人は

微笑ましい笑みと
ケッ…としけるやつと
眉間に深いシワを寄せるのでした。









次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ