novel

□ただ、ひとつ
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あれから、すこしして。

沢田綱吉率いるボンゴレファミリーの下、ミルフィオーレとの決戦を控えた独立暗殺部隊ヴァリアーにはピリピリとした緊張感が張り詰めていた。

ボスであるXANXASの部屋ではXANXASと密談する一人の幹部の姿。

フランだ。

「…ってなわけで、この闘いが終わって前任が帰ってきたらミーはここから消えますからー。あとは適当に纏めてくださいー。」

いつものポーカーフェイスを通し、何ともないような口調で淡々と言い放つフランの心の内はきっと辛く苦しく、ミルフィオーレとの闘いが終わってマーモンが帰ってくれば、その事実に涙し喜ぶ仲間達の姿に何も言わずに背を向け消えなければならないフランを思うと、その存在はとても惨めだ。

「あいつらには言わねぇのか。」

感情を感じさせない低い声が諭す。

「言ったってどうせ何もかも忘れるんですー。だったら何も言わずに消えてった方が、忘れられて傷つくよりかはマシですー。」

「…そうか。」

「それじゃこれで話は終わりです。失礼しましたー。」

XANXASと目を合わせないまま部屋を出ていこうとするフランを低い声が制す。

「フラン。」

その声に足を止めたフランは振り向きもせずに



「安心してください。前任が帰ってくるまでミーはまだここの霧の守護者ですからー。」



フランの言葉にXANXASは何も言わない。この言葉自体がフランの覚悟だと受け止めているのだろう。





「責任は果たします。」





キィ、と薄く開けられた扉の前で振り向いたその姿。







その覚悟が揺るぐことはないと確信を持ったXANXASは口角を上げ、今のは見なかったことにしてやる、と思いながら瞳を瞑った。

 
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