short

□I need***
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ぱらぱら、ぱらぱらと見るからに冷たそうな秋雨が窓の外で降っている。
あーあ、今日はいつものゴールでバスケが出来ないなぁ。
僕は頬杖をつきながらそんなことを思った。
いつものゴールっていうのは、まあ、周りが金網に囲まれている公園で、僕はよくそこで一人、なかなか上達しないバスケを毎日していた。
昔は青峰くんと二人で来ていたが、最近彼はめったに練習に来なくなって、もうずっとひとりだ。
今日は部活も珍しく休みだし(最近バレー部の大会が近づいているらしく、体育館を優先的に使えなくなったから)、そこで練習しようと思っていたのに。
僕はふう、と息をついて意識を授業へと戻した。
 
放課後。
酷くなった雨を前に僕は愕然とした。
「…あ、れ?嘘…」
こんなときに限って、いつも鞄に入っている愛用の折り畳み傘を家に置き忘れてきていたことに気づく。
(…そうだった。昨日傘を干そうと思って…)
いっそ雨に濡れて帰ろうか。
雨の勢いはますます強まってきているように見えるし、このままこの昇降口で雨宿りをしていてもやみそうにない。
(明日の練習、風邪ひかないようにしますから!)
一応心の中で赤司くんに謝り、いざ雨の中へ…
走り出そうとしたところで、後ろから誰かに引かれた。
ぐいっ
左腕を掴んでいるその手は随分大きい。
「?」
振り向いたらそこには、同じ部活の同級生がいた。
 
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