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□隣にきみがいるだけで
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目を開けた時に真っ先に気づいたのはエメラルドグリーンだった。





[隣にきみがいるだけで]





最近は連日の暗殺任務が続き表面には出しはしないがいくら体力に自信がある俺でも辛かった。日付が変わる前にアジトに戻り、スクに報告しに行ってから台所でルッスが冷蔵庫に入れてたサラダボール食って愛しい恋人の部屋に行った。そしたら誰もいなくて任務かよと思いスッキリしないながらも自室に戻ってきた。シャワーを浴びて素早くキングサイズのベッドに潜り込んだのが確か23:40くらい?疲れのせいかすぐに瞼が重くなって意識が飛んだ。
目が覚めたのは1:00前だ。寝返りを打ったらなんか柔らかいのにあたったと思って目が覚めた。そしたら抱きついて眠るフランがいた。愛しい恋人。
俺の大事なひと。
稼業のおかげですっかり人の気配には敏感な俺だけど、フランの気配には気づけない。それは彼女が優秀な暗殺者だということもあるだろうけど一番の要因は俺が惚れてることだと思う。センパイがミーに心を許してくれてるってことでいいんですよねー。と、この話をしたときのニヤニヤしていた彼女の反応は全くそのとおりだ。
この上なく惚れた女は、後にも先にもフランだけだ。こんなに他人を好きになることができるのかと驚いた。どうしようもないくらい深いところまで好きで、恋しくて、愛していて。

「....ベルセンパイ....?」
「ん。オハヨ。フラン」
「あれ、ミー寝ちゃってましたかー?」
「爆睡してたけど。任務だった?」
「あー、はい。と言っても今日中には帰って来れ....え、今って何時....」
布団の中にまるまっていたフランがいきなり跳ね上がりサイドテーブルにおいてあるデジタル時計を見やる。そして顔を突っ伏した。
「最悪ですー....」
「なにが」
「うう....」
何度も時計を見直すフランに俺も何故か焦りを覚えて今日は何日か思い出す。今日....何日だっけ....。必死に頭を動かす俺にフランは小さな箱を渡してきた。
「え、なに。くれんの?」
「黙って受け取ってくださいごめんなさい本当は日付変わると同時に起こそうと思ったんですよー....」
「は?日付?」
箱を開けるとそこにはシンプルなデザインのシルバーリングがあった。
「指輪....?」
「お誕生日おめでとうございます堕王子。まさか一緒に寝るとは思わなくて....」
「誕生日....?」
そこでフランが目を見開いた。
「気づいてなかったんですかー?」
今日は堕王子のハッピーバースディでしょーが。
そう言ってふわりと笑った紅いルージュに目が奪われる。
そうだ。今日は。

「来年もこうして祝いたいですねー」
「祝ってくれないの?王子が好きなのはいつだって」






フランだけなんだよ?
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