short

□王子様のとある日
1ページ/1ページ

自分の誕生日だということはすっかり忘れていた。
最近は任務任務と年内に片付ける仕事で追われていて、正直そこまで思考が回っていなかった、というか。
だから、今日のシフトを見て1日オフになっていて「ん?あれ、申請なんてしたっけ?」とは思ったものの、睡眠時間が長くなる、とラッキーに思っただけだったのだが。
「…あー、もしかして申請出したのっておまえ?」
「当たり前ですー。アンタの誕生日くらいゆっくりしたいじゃないですかー」
キッチンから香るにおいは俺が以前美味しい、と言ったホワイトクリームのドリアのようだ。ソファに座ってエプロンをつけた恋人を眺めていると、あんまり見ないでくださいよ、と照れた様子で咎められた。
「仕方ねーじゃん。可愛いんだもん」
「視線がウザイんですー」
「ししっ、照れてるフランも大好き」
「…………っ」
立って彼女を細すぎる体を後ろから抱きしめる。ちょっとー、動けないんですけどー。不満気な文句が聞こえるけどガン無視。
ぎゅうぎゅうくっついていると観念したのか「…はぁ、」とため息。ポンポンと腕を叩かれてフランの顔を見ると真っ赤な顔。
ん?俺なんかしたっけ?と記憶を探る。
「…あのね、先輩ー。ミー、先輩をお祝いしたいんですー、……だから、ぎゅってするのは後で、ゆっくり…したい、なー…なんて思ってたり思ってなかったりー?」
その言葉に王子ノックアウト。仕方ないからパ、と手を離すとサンキューですーとの声とリップ音。…頬に、柔らかい、感触。
「…………………ベル先輩、お誕生日おめでと、です」
うつむいてぼそぼそと呟くフラン。頬は真っ赤に染まっていて、どうやら言ったあとに恥ずかしくなったよう。
「……ヤバいんだけど。主に王子の下半身が」
手で口を抑えながら言うと「…最低ですー」と蹴り入れられた。…ああもう、すっげー可愛い。このカエル、どうしてくれよう。
とりあえずは最愛の恋人が作ってくれたドリアを食して、それからフランを堪能しよう。今日は王子の誕生日、少しくらいワガママだって許されんだろ?
 
 
121222 
Berphegor BuonComplenno!!
(多少のスペルミスは大目に見てください←)
 
死ぬまでいちゃいちゃしてればいいよね!うん。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ