magi

□kiss magic
1ページ/1ページ

キスを、してみた。
ちゅ。甘いリップ音はなんだか好き。月夜の下でするそれも、太陽の下で人の目を盗んでするのも。
ただ、違和感。
キスの相手が、初めての相手だったからに違いない。
「…なんか、ムカツク」
「…なにがだよ?」
「キス、慣れてる」
「……ンだよ、ソレ」
「なんか悔しい。シャルルカンの癖に」
「俺の癖にって…」
嘘。別に悔しくなんてない。
彼が女性経験に豊富なのは知ってるから。
ただ、あまりにもそのキスが優しかったから泣きそうになったの。
他の子にも、こんなふうに優しくて甘いキスをしたのかな。
「…バーカ」
「何がよ」
「オマエがだよ」
俺も、おまえと同じだっつーの。
変なの。私何も言ってないのに気づいてた?
なんだか恥ずかしい。でも嬉しい。
なんて、言ってやらない。
「バカじゃないの」
私達にはこの台詞がお似合いでしょ。
 
(ずっとアンタが好きだったの)
(ずっとおまえを気にしてた)

 
素直になれないのは罪ですか。はい、だから私に掴まりなさい。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ