short

□ファミリア
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好きだと伝えてから8年。
決別してから7年。
付き合いはじめてから5年。
プロポーズしてから3ヶ月。
籍を入れたのと結婚式を行ったのは1ヶ月前。
…そして、昨日。
僕の妻の腹には新しい命があることを知った。
 
 
 
 
「赤司くん、ここにいたんですか」
ぴょこん、と扉の隙間から顔を出したテツナは手になにか本を持っていた。どうしたの、僕の可愛い奥さん、と問うと照れたのか頬を染める彼女が可愛い。
「えっと、新しく買った文庫でも読もうかと思って…、……本を読むくらいなら、赤司くんの傍にいても邪魔にならないかな、と」
そう言ってぽすんと軽い音をたてて皮張りのソファーへ体を預ける。その彼女の額を軽くデコピンするとうるうるとした涙目に睨まれた。
「…何するんですか赤司くん」
「こら。もうおまえも赤司だろうが」
「…あ、そういえば。…慣れないものですね」
まあな、と応えてサラサラとした水色の髪を掬く。
隣に腰をおろして膝の上にテツナを乗っけると「赤…征十郎くん、お仕事はいいんですか?」ときょとんとしているテツナの唇にキスをした。途端に赤くなる顔。触れるだけのソレだったというのに。それより恥ずかしいことだって沢山しているというのにどうして未だに恥ずかしがるのだろう。まぁ、そんなところも含めて僕はテツナが好きなわけだが。
「ああ。仕事は一通り終わっているからね。少し明日の会議の資料を確認していただけだよ」
「そうなんですか」
「それより、おまえ少し薄着じゃないか?」
「そんなことないですよ」
「そうか?…もう1人の体じゃないんだ、気をつけろよ」
「わかってますよ。本当に君は心配性ですね」
首元から覗く鎖骨が寒そうに見え心配するとクスリと笑われた。確かに服を着込んでいるようだ。着込んでいるように見えないその細い躯は子供を出産するには少々頼りないが、僕とテツナの子供だ、きっと根性強く生まれてくれるだろう。否、そう願っている。
「征十郎くん、僕…君との子供をこの身に宿すことができて本当に嬉しいです」
目を合わせたまま、柔らかい笑顔でその言葉を放った僕の可愛い奥さんを思わずぎゅううと強く抱きしめてしまった。どうにも僕は彼女に甘いのだ。きっとこのままだと僕はテツナの尻にしかれる可能性もあるかもな。そんなことを考えながら彼女の首筋に顔をうずめる。鼻一杯に広がった香はボディクリームか何なのか、僕が以前好きだと言った香だった。
 
 
 
*子供の名前、とうしよう…?
結婚赤黒♀からスタートです!
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