APH

□よくある光景。
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今日、俺は菊の家にやってきたわけなんだけど…

菊とは友達で、学校ではいつも一緒にいる。


「アーサーさん、もうダメですよ。アルフレッドさんの前で抱きつくのは…」

目の前の光景はなんだろうか。

俺の義兄が菊に抱きついてる!?


ワオ……


アーサーは俺たちより学年がひとつ上で、生徒会長なんてものもこなしてる。

対する菊は大人しくて可愛い容姿から誰もが守りたくなるような雰囲気。


でも、アーサーと菊が知り合いだったなんて、俺は知らなかった。


それよりも、なんでこの眉毛は菊に抱きついてるのだろうか。

菊も菊でただ笑ってるだけ。


目の前の光景は確かにおかしい。


ましてや男同士なのだから。

菊が可愛いからといって俺ですら手は出さないんだぞ。


俺に気付いてるのか別として、アーサーは俺とソファで向き合って座っている菊に横から抱きついている。

菊はアーサーの頭撫でて、呑気によしよしといっているだけだ。


菊とアーサーはいつ会っていたんだ?

それに、こんな気持ち悪いアーサーは年に数回しか見られないだろうね。



「アーサーさん、あ、そんなとこ触っちゃ嫌ですっ。」


イラっ


「菊すげーいい匂いするよな。ずっとこうしてたい。」

俺はアーサーにイラついている。



アーサーを愛おしそうに撫でている菊は可愛い、けどそれに甘えるアーサーは可愛くない。


「菊、好きだ。」


うわあぁお。


「あ、アーサーさんっ。アルフレッドさんの前でそんなこと…」


俺の前じゃなかったらどうなってたんだい?

俺はツッコむ気にもなれなく、ただ黙ってさっき出された紅茶を飲み仲間ら二人のやりとりを見ているだけ。


紅茶が何故かアーサーが淹れたヤツと同じ味がしたのには気づかなかったことにしよう。


「もうっ、今日はアルフレッドさんが家に来る予定で、貴方とは約束してませんでたよ。」

「あんなヤツより俺を優先しろばかぁ!」


あんなヤツが今まさに君の目の前にいるんだけどね。

気づかないほどのバカなのか。


カタカタと震え出した手、持っているティーカップから紅茶がこぼれそうになる。

ああ、本当に君は俺をイラつかせる天才だよまったく。


ついにアーサーは菊の服に手を忍ばせ、ニヨニヨと菊の困った顔を眺め始めた。

流石変態というわけか手つきがエロい。


「菊が感じるトコはどこだろうな?ココか?」

「っ、アーサーさっ…やめっ」


エスカレートするその行為を目前に俺は虫唾が走るのを感じた。

めくれた服から覗く菊のお腹らへんに巻きつけられたアーサーの手。

もう片方は服の中の胸のあたりでゴソゴソとしている。

終いにはちゅ、ちゅ、と嫌がる菊にキスをし始めた。


「やぁ、アルフレッドさんが…」


いや、俺はもう空気になったんだぞ。

「俺以外の男の名前呼ぶな。菊には俺だけ居れば十分だろ。」

「…はい」


半ば諦め気味の菊は頷き頬を染めながら呟いた。

「私にはアーサーさんだけです。」


完全に俺は邪魔者じゃないか!

ってゆーか、アーサーはいったいどうやって菊を口説いたんだい?!


こんな菊始めて見るし、何より抱きつかれてそんなに嫌がってないみたいだし。


目の前で菊がだんだん脱がされていくのを俺は見てはいけない気がしたから立ち上がり、空気になったつもりでリビングを出た。








パタリと閉めた途端にドサリと音がして、菊が押し倒されたことを悟ったけど俺はそのまま玄関で靴を履いて家に帰ることにしたよ。


久しぶりに空気を読んだつもりだったけどアーサーが帰ってきたらとりあえずくたばれ!と罵っておこうと思う。



END.

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