I'm dying to see you.

□ある暇な日に
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「暇だぁ〜」
「暇ですね」
「鬼男君、暇なんだけど」
「そうですね」
僕と大王は今、とても暇だった。いつもは山のように持ち込まれる書類も、たくさん訪れる死者もいない。そして何より、偶然にも大王が仕事を片付けていた。
「そうだ、トランプやろう、トランプ」
「いいですよ。何をやりますか」
「ポーカーで」
そう言うと、大王はトランプを取りにいなくなる。内心、僕はホッとしていた。何処かへ行きたい、と言われていたら、止めなくてはならない。いくら暇だといっても不在にするわけにはいかないからだ。
「よし、やろう鬼男君」
いつの間にか戻ってきた大王が、手際よくトランプを机の上に並べた。
「負けたら罰ゲーム!相手の言うことを何でも聞くこと。というわけで、スタート」
「大王っ、何を言い出すんですか」
「負けるのが怖いのかな〜、鬼男君は」
「…やってやろうじゃないですか。この変態イカ風情が」
「大王すらない…」
ヘコむ大王は、基本スルーしておく。それにしても大王が、ポーカーなんて小難しいゲームを知っていたことに、若干の驚きが…。どちらにせよ、頭を使った駆け引きが必要なポーカーじゃ、大王は勝手に自滅してくれるだろう。
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