誕生日

□このはがくれのさとから
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―イタチへ
うちの近くにあった団子屋が新商品を出したらしいから送ってやろうかと思ったが、生ものを送るのもどうかと思ったのでやっぱやめておく。
そういうことだから、たまには里帰りをしてみたらどうだ。
サスケより―


「これは……」
「どうかなさったんですかイタチさん?」
「あ……あぁ、これを見て欲しい」

そういって鬼鮫に手紙を渡す。
手紙を読んだ鬼鮫は小さな目をこれでもかというくらい見開いた。(と思う。実際はあまり変わってない)

「えっと……うーむ……なんといったらいいんでしょうね」

腕を組んでうんうん唸り、「とりあえず、これは本当に弟さんから送られてきたものなんですか?」とオレにたずねる。

「当たり前だろ。この字はサスケの書いた字で間違いない。兄のオレが言うんだ。間違えるはずがない!」
「あぁ、いっておきますけど、私達忍の中には筆跡を真似ることなんて容易いような方がいらっしゃるんですよ?」
うちは一族のような、と付け足す。

なぜそこでうちはが出てくるのだ?
そう鬼鮫に言えば「あなたって人は……」と呆れられてしまった。

「あなた、写輪眼の能力を忘れたんですか?」
「忘れることができると思うか?」

常に写輪眼全開なんだ。カカシさんのようにコピーすることが出来るのだって忘れるわけがない。

「そうだ、コピーできるんだからコピー忍者イタチと言われてもおかしくないだろ」
「なんの話ですか」

カカシさんの二つ名に文句をいってると鬼鮫につっこまれた。
カカシさんの二つ名のことを鬼鮫に言うと「そりゃ、あの人はうちは一族じゃないからそういわれるんだと思いますよ?」と言われた。

「ということは、世間的にはうちはの者はコピーできて当たり前ということか」
「アナタ本当にイタチさんですか。世間的にもなにも、できて当たり前でしょう。いつの間にそんなアホになったんですか」
「鬼鮫、言っていいことと悪いことがある。今のアホ発言は言って悪いことだ!」

そう言って、オレは天照を準備をする。
しかし鬼鮫は「イタチさん、あまり任務外で写輪眼を使わないでください。目、見えなくなってしまいますよ」と言って、家事の続きを始めてしまった。

鬼鮫の家事が終わるまでしばらく待ったが、結局サスケからの手紙の話をするどころか、会話すらしなくなってしまった。
仕方がないので、オレは一人で木の葉へ向かうことにした。


「久しぶりだなサスケ」
「何で里にいるんだよ!」

むむ、なんだこの反応は。てっきり歓迎されるものだと思っていたが……。

「お前が手紙をよこしたからきたのだ。団子屋の新商品とは一体どんなものなのだ?」

サスケがとぼけているので、手紙の内容のことを話すと予想外な返事が返ってきた。

「は?手紙なんて出してないぞ。それに、団子屋ってあそこの団子屋か?あそこ新商品なんか出してないぞ」

団子やは新商品を出していない?それに

「手紙を出していないとは、どういうことなんだ」
「どうもこうもそのままだろ。オレはお前に手紙なんか出してないし出すわけないし、出す予定もない」

おかしい、おかしいぞ。あの手紙の文字は確かにサスケのものだ。
そこで手紙を見せた時の鬼鮫の言葉を思い出す。

"私達忍の中には筆跡を真似ることなんて容易いような方がいらっしゃるんですよ?"

誰かがサスケの筆跡を真似て書いたのか。鬼鮫の行っていたことは嘘ではなかったのだ。

「サスケ、この里にお前以外にうちはの人間はいるのか?」
「はぁ?なにふざけたことぬかしやがる、お前が全員殺したんだろうが!」

む、それもそうか。
では一体誰が……?

「……ところでイタチ、久しぶりに団子屋に連れて行ってくれないか」
「!あぁ、いいだろう。兄さんがお前の好きな団子を買ってやろう」
「いや、団子じゃなくてもいいんだが」

誰が手紙を出したのか考えている途中でサスケが団子を奢って欲しいというので仕方が無いから奢ってやることにする。まったく、仕方のない弟だ。兄さんは優しいからな、なんでも好きなものを買ってやろう。

そう意気込み団子屋に向かう。
すると、途中でカカシさんにばったりと鉢合わせしてしまった。
これはやばい。オレはこの里の抜け忍で、里のものから追われる身だ。おまけに変装していないからモロバレだ。

「あら、イタチじゃない。どうしてここにいるの?」

攻撃されるかと思い構えてみたが、意外にもそんなことはなくフレンドリーに話しかけられた。

「サスケから手紙を貰ったので、久々に会いに行こうと思いまして」
「だからオレじゃねえって言ってるだろ」

サスケがそう言うとカカシさんは「ふーん」と意味ありげに頷いた。

「どうかされたんですか」
「いやぁ、その手紙見せてくれると嬉しいなーって」

なぜカカシさんに見せなければならないのかと思ったが、手紙がサスケからのものではないとわかった以上、これはただの紙切れだ。
オレは素直にカカシさんに手紙を渡した。

「ふんふん、あぁこれね、実はオレが書いたの」
「カカシさんが……?何のために」
「んー、なんとなくかな」
「な、なんとなくで抜け忍に手紙出すんじゃねえ!!」

カカシさんの"なんとなく"を聞いてサスケが怒る。

「いいじゃない、たまには教え子と連絡とったって」

ね?とオレに振ってくるが、オレはカカシさんの教え子ではない。

「オレはあなたの教え子じゃないはずですが」
「気にしない気にしない。さ、お団子食べに行こうか。今日はオレのおごり」
「う、うーん……」

サスケもオレも納得しないまま団子屋へ連れて行かれた。



「で、晩御飯食べられないほど団子を食べてきたわけですか」

アジトに帰り鬼鮫に手紙の送り主とそこであった事を話したら呆れられた。

「仕方が無いだろう。カカシさんが奢るっていうから」
「だからと言ってホイホイついて行かないでください。まったく」

いい年した大人がなにやってるんですか、といいながら鬼鮫はオレの団子を皿ごと取り上げた。

「おい、返せ。まだ食べ終わってない」
「はたけカカシに奢ってもらったならいいでしょう。今日はもうおしまいです」
「なんてことだ……」

まさか、こんなことになるとは思わなかった。
よし、これからは手紙が来ても開けないようにしよう。いざとなったらこの写輪眼でみやぶってやる。

そう独り言を言ったらまた鬼鮫にツッコミを入れられた。
放っておいてくれ、独り言なんだ。

6.9 うちはイタチ

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