誕生日

□つちのくにから
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もうすぐオイラの誕生日。

だが、オイラは正直楽しみじゃない。
いや、そりゃ暁メンバーからのプレゼントはすっごく楽しみだけどよ。

毎年送られてくるんだよ。

こいのぼりが。

何でこいのぼりかって、オイラの誕生日がこどもの日だからだ。
誕生日は好きだがこどもの日は嫌いだ、うん。

オイラももう19なんだぞ。いつまでも子供扱いしてんじゃねぇ!



「ってことだ、こいのぼりが送られてきたら送り返してやってくれ、うん」

オイラはリビングで鬼鮫の旦那に頼み込んだ。

「えーっと、ご自分でなさったらどうです?」
「バカ言えそんなことしたらあのジジイに何言われるかわかんねぇ」
「あなた誰に向かってバカなどと言っているんです?」

鬼鮫の旦那が割と喧嘩っ早いことを忘れていた。

「すまねぇ鬼鮫の旦那。だけど、本当にオイラから送り返すことだけはしたくねぇんだ」
「なぜです。今更里に気を使う必要なんかないでしょう」

なかなか話が進まない。
そこでオイラはちょっとした作戦を実行する。

「とにかく!来たら送り返しておいてくれ、うん!じゃぁオイラは任務に行ってくる」

とにかく鬼鮫の旦那に押し付けて逃げる作戦だ。だが現実はそううまくはいかなかった。

「待ちなさいデイダラ。今日はあなた達非番でしょう」

案の定バレる。
当たり前だ、任務のシフトは全部鬼鮫の旦那が管理しているんだから。

「あ、あれだ、急任務!!オイラ達も小遣い稼ぎしに賞金首を狩りに行こうと……」
「貴様らに賞金首を狩ることは不向きだ」

鬼鮫の旦那に言い訳をしていると不死コンビが任務から帰ってきた。

「あァー、確かにそうかもなァ」
「な、なんでだよ。賞金首なんかオイラの芸術で一発じゃねぇか」
「それが不向きだと言っている。いかに綺麗な状態で持っていくかで金額が変わるからな」

だからってなんでオイラの芸術はダメなんだ。

「オイラだって死体を傷つけないように倒せるぞ、うん!」
「デイダラァ、角都が言いてぇのはお前の爆弾だと死体がバァラバラのグッチャグチャになっちまうから向いてねぇっつってんだよ。なぁ、角都?」
「あぁ、そこまではならんだろうが、そういうことだ」

クソッ
って、こんなことを話している場合ではない。

「なぁ、鬼鮫の旦那、お願いだよ。送り返してくれ」
「はぁ、仕方ありませんね。宛先は土影様宛でいいんですか?」
「あぁ、じゃあよろしくたのむ、うん」

そういってオイラは出かける準備をする。

「おいおい、どこ行くつもりだァ、デイダラちゃんよォ」
「いったろ、出かけるんだよ」
「いや、聞いてねぇし」
「じゃあ、でかけるんだよ」
「んで、どこ行くんだよ」

飛段に教える必要もないので無視して準備を済ましてでかけようとする。

「オイオイ、無視してんじゃねェよ」
「しつけえな、どこでもいいだろ、うん」

なんでそんなに知りたいんだよ。

「じゃあ、出かけてくる。夜には戻る、うん」

まだ飛段がなんか言ってるが無視だ。かまってられっか、うん。


鬼鮫の旦那に言ったとおり、夕方くらいには用事を済ませてアジトに帰った。


「ただいまー、う……うん?!な、なんで……き、鬼鮫の旦那ァ!!」

帰ってきたとき目にしたのは黄色いこいのぼり。
オイラは急いで鬼鮫の旦那を呼びにおそらくいるであろう台所まで走った。

「なんですか騒々しい」
「なんですかじゃねぇ!こいのぼり送り返してくれって言ったじゃねぇかぁ!!」

予想通り台所にいたので、すぐさま怒鳴りつける。

「うるさいですよ、静かになさい」
「だから!!こいのぼり送り返してくれって言ったのになんであるんだよ!」
「話をちゃんと聞きますから落ち着きなさい」

ぺしっっとフライ返しではたかれようやく落ち着く。

「で、こいのぼりの話だが」
「あれはお昼に送り返したんですけどね、土影様がまた送ってきたんですよ」

なんだと?

「これ、二回目に送られてきた時に一緒についてきた手紙です」

そういってオイラに手紙を渡した。


「“ワシがわざわざ毎年作ってやっとるというのに、送り返すとは何を考えているんじゃ。ちゃんと受け取れバカもんが”……って、あれ手作りなのかよ、あんなでかいもん、うん」
「おやおや、それは送り返されたら悲しいですねぇ。せっかく作っていただいたんですから飾りましょう」

そういって鬼鮫の旦那は玄関にいる黄色いこいのぼりを居間に持ってきて画鋲で天井から吊るした。

「って、じゃまじゃねぇか?うん」
「いいじゃないですか、手作りなんですから」

意味わかんねぇ、けど鬼鮫の旦那は満足そうだ。

結局送り返されてきたけど、今年は我慢してやる、うん。
だが来年は絶対に受け取らねぇ、うん!

5.5 デイダラ

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