短編

□いつから?
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「ねぇ、鬼鮫さんっていつから敬語使うようになったの?」
「何を言い出すかと思えば……」
「ねぇねぇ、いつからなの?」
「はぁ、覚えてませんよそんなこと」

そんなことより早く洗い物を済まさねば。

「ねぇ、鬼鮫さん」
「なんですか」
「鬼鮫さんは鮫界の王子様?」
「ふざけているんですか、削りますよ」
「ふざけてないもん」

私にはふざけているようにしか聞こえませんがねぇ。

「アナタ本気でそう思っているんですか?」
「ちょっと本気」

はぁ

「そんなわけないでしょう。私は人間界の干柿鬼鮫です。だいたい鮫界ってどこですか」
「鬼鮫さんって昔から敬語?」
「話題をすり替えないでください。昔からですよ」
「へぇ。あ、鮫界はね、海底にあるんだよ」

あるんですか。

「忙しいですから、あっちいっててください」

洗い物を済ませて次は洗濯物を干しにいきましょうかね。

「あっちってどっちさ」
「あぁもう、ついてこなくていいです。東の方角3キロくらい先にいっててください」

洗濯物を洗濯機からカゴに移し庭先に運ぶ。

「やだやだ遠い。鮫界のお話聞かせて」
「遠くないです。それに鮫界なんてありませんって」
「あるよ!鮫界の住民が一匹陸に上がったって聞いたことあるもん」

あぁ、暁のコートはサイズが大きいから専用の物干し台を作らなくては。

「きいてる?」
「いいえ」
「きいてよ!」
「アナタのくだらない話に付き合ってる暇はありません」
「くだらなくないもん」

さて、どうでしょうね。

とりあえず、洗濯物は干し終りましたね。
つぎは……

「鬼鮫さん、彼女いるの?」

「…………」

「……いないのかぁ」
「ちょっと待ちなさい、誰がいないと言いましたか」

失礼な。

「だって鬼鮫さん何も言わないんだもん」
「何も言わないからって勝手に決めないでください」

とことん失礼な方ですね。

「じゃあ……いるの?」
「……あなたのような小娘に教える義務はありませんよ」

そもそもなぜ教えなければならないのか。
というか、なぜこのような質問を?

と、いうか

「そもそもアナタ、誰なんですか」
「ないしょー」


後に、新しく入ってきた新人さんだとわかる。

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