短編
□団子屋敷
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いっぽーんにほーんさんぼーんよんほーん
草はこっち
三色はこっち
ごほーんろっぽーんななほーんはっぽーん
あんこはここ
みたらしはここ
きゅうほーんじゅっぽ……
「い、一本たりんっ」
「イタチさん、団子を分けて、何を数えているんです?」
「っ!?あ、き、鬼鮫か。いや、棚にあった団子をなんとなく数えてみたらな、三色団子が一本たりなかったんだ…」
「は、はぁ…」
「残り10本あったはずなんだ、草団子と三色団子が三本づつ、あんことみたらしが二本づつあるはずなのに……」
「イタチさん、ご自分で食べたのでは?」
「そ、そんなはずは……」
思い返してみる。
最後に団子を食べたのは今朝。今朝、一本だけ食べた。
そのとき食べたのはなんだったか……
うーん、うーん
あ、そうだ、食べたあとの串を見てみよう。
すぐ近くにあるゴミ箱を覗く。鬼鮫がゴミを出した後に捨てたから一本だけ入っているはずだ。
一本だけ……
「に、二本……」
「二本?」
「だ、団子の串が二本入っている……」
「おや、しかも無いといっていた三色団子の串じゃないですか。気づかぬうちに食べていたようですねぇ」
そ、そんな馬鹿な……
「これは団子規制をかけなければいけませんねぇ」
クククっと笑う
「何っ」
「嫌でしたら少しは我慢してください」
うぐぐ……
「わ、わかった、だから三色団子を一本くれ」
「あなた、わかってないでしょう。それに一本なんてありませんよ。もう今日は団子禁止です。」
「なん、だと」
「おねだりしてもだめですからね。では、私はこれから出かけますので」
そういって鬼鮫はでていってしまった。
「……だんご……」
まさか無意識に食っていたとは……
これからは気づいてもいわないようにせねばならんな。