短編
□効果なし
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今日は任務もないし、家事もほとんど終わったからテレビでも見ようと電源をつける。
同じく非番の角都さんも一緒に。
『実験の結果、ゴミステーションを荒らすカラスには普通のネットよりも、黄色いネットのほうが効果的だということが判明。自治体の方にインタビューしたところ、早いうちに取り入れたいとのことです。』
へぇ、そういえば最近よく黄色いネットを見かけるようになったと思えば。こういうことでしたか。
と、一人感心していると
「嘘をつくなっ」
角都さんかミカンの皮をこたつの上に投げ捨てた。
ちゃんとゴミ箱に捨ててくださいよ、まったく。
角都さんが言うには、この間散歩にいった時のこと、視界のすみに何かいると思い視線をそちらにやれば、黄色いネットを退けようと二羽のカラスがつついていたという。
「まぁ、カラスもそこら中が黄色いネットだらけでは慣れてくるでしょう。」
「それでは意味がないではないかっ」
だから角都さん、ミカンの皮を投げないでください。
「最近のテレビは嘘を伝えるのかっ」
ぷんすかぷんすか
と、どうやら角都さんは相当ご立腹の様子。
ゴミステーションのカラス除けごときでこんなに怒るのは、やはり歳だからでしょうか。
「たまたま外れただけでしょう。」
「ちゃんと確証してから電波に乗せろ!天気予報だって外れてばっかではないかっ」
確かに最近はよく外れますけど。
「それは自然現象ですし…」
それでもあーだこーだ文句をいう角都さんに私は耐えきれず
「そんなに文句を垂れるならご自身で検証して確証をだしてテレビ局に情報を売ればいいでしょう、こんなところで文句言ってる間にも何処かの誰かさんが同じことを思って検証してテレビに情報を売っちゃうかもしれませんよ。」
と、冗談半分でいうと、角都さんはどうやら本気にしたようで、急がなければ先を越されてしまうっといって急いで出て行ってしまった。
「…………冗談、だったんですけどねぇ。まぁ、すぐに気づくでしょう。」
私は角都さんの投げたミカンの皮を片付けながらつぶやいた。
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「鬼鮫、貴様嘘をついたな」
「いや、冗談だったんですが…」
「さては、貴様もテレビ局の手先だな?許さんぞっ」
「ぎゃーっ」
角都はきっと騙されても認めたくないんだと思いたい。
電車に乗って窓の外を見たら、まさにネットを退けようとしている瞬間を見てしまいました。
2羽がかりで頑張ってました。
個人的にはネットよりも、鉄製のカゴの中にいれた方が効果的な気がします。