大江戸愛情物語(完結)

□第十七訓
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あの激しい事情の後、まゆこは気を失い、目が覚めると一人部屋にいた


窓の外を見ると太陽が真上を超えていた


昼過ぎ辺りだろうか・・・



そう思いながら体を起こそうとすると体が不自由な事に気が付いた
見れば、両手に掛かる手錠、右足に足枷がはめられていた




逃げられない様に
飛べないように




幸い部屋の端のパイプに繋がれているようで、部屋の中を行き来するだけの長さはある
まゆこはじゃらんと重厚感のある鎖を引きづけながら窓のそばに行くと壁にもたれ掛かる様に座りこんだ
手錠をかけてあるせいで着物を着る事も出来ない
何も身につけていないその自分の体を見れば、先程の乱暴なまでの事情の跡が生々しく残っていた


体じゅうに付けられた歯型は鬱血し青くなり、掴まれていた手首には痣、爪をたてられた跡は蚯蚓腫れになっている
そして首の傷からはまだ少し血が止まらずに出ている



・・・・まるで5年前と変わらない体



ボーっと壁に寄りかかり、その体を見ていると、部屋のドアが開いた
一瞬、高杉かと思って身構えたが入ってきたのが来島だと知り安堵の溜息を吐いた





「・・・・・・・まゆこっ・・・」




来島はまゆこのその姿を見るなり慌てて着物を体に掛けてやった
そして持ってきていた救急箱で首の傷の手当てをしだす

高杉にでも言われてきたのだろうか?


そう思いながら大人しく首の傷の手当てをしてもらった


お互い無言でいたが、それを破ったのは来島だった





「・・・・・抵抗・・・しなかったんスか」




クルクルと首に包帯が巻かれていく




「なんで抵抗しなかったんスか?嫌だったんじゃなかったんスか?帰りたかったんじゃなかったんスか??帰りたいなら、嫌なら、抵抗すればいいっす!!!!仮にもまゆこは真選組っすよ!!??弱い訳じゃないっす!!!!!」



そう言う来島にまゆこは困ったように笑うと、視線を窓の外に向けた
そしてゆっくりと話し出した









『私ね、真選組に助けてもらうまで・・・・愛玩人形だったの』









窓の外を見ながらそう言う少女に来島は目を見開いた








「・・・愛、玩・・・人形?」


『そう、ただ男たちに足を開くだけの愛玩物』


「・・・な、んで・・・」




驚愕する来島にまゆこはゆっくりと黒のカラーコンタクトを取った
現れた金と緑の瞳に来島は目を見張る




『この目のせいで、母親に捨てられて、金持ちのオッサンに買われて、売られて、また買われて・・・・6歳から、そう言う生活をしてたの』



「・・・・金の瞳・・オッドアイ」



『長い間愛玩としていたからかな・・・どうしても本能的な物が私を抵抗させてくれない、抵抗出来ないように躾けられてたし・・・・』



「・・・・・・まゆこ」



『飛べない鳥に価値はない・・・・結局、私は男の足を開くしか出来ないんだよ』



そう言ったまゆこの綺麗な瞳が揺れる
来島はギリっと唇を噛みしめると拳銃を取り出した






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