大江戸愛情物語(完結)
□第七訓
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「はぁ〜・・・俺の方は終わった、近藤さんの方は?」
『・・・・後8枚ほど』
「おー後少しだな、流石長年補佐してるだけあって仕事が早えーな」
『お褒めのお言葉嬉しい限り。だからお願い、手伝ってェ〜』
「しゃーねーな。マヨ一本でどうだ?」
『ノッた』
ニッと笑ってまゆこの残ってる書類を片付けて行く
右手にペン、左手には煙草を持ちサラサラと筆を進める
そんな姿をまゆこはチラリと横目で見つめた
通った鼻筋、サラサラと揺れる黒髪、鋭い瞳、形の良い唇、太く逞しい首元、女には無いその喉仏が出ていて何とも色っぽい
あ〜こういうのを大人の男って言うんだろうなァ〜
そんな事を思いながら視線を書類へもどした
まゆこが書類へ目を戻すのと同時に土方も少女に横目を向けた
少し低い鼻、自分と同じ黒髪、ぱっちりとした目、本当は金と緑なのにそれを隠して黒のカラーコンタクトを入れている瞳、ぷっくりした頬、細く白い項、そこにサラリと落ちる黒髪が何とも艶めかしい
いつの間にか本当に子供から女になってたんだな・・・
そんな事思いながら視線を書類へ戻した
『・・・・終わったァァァァァ!!!!!』
「こっちも終わりだ」
机の上にペンを放り投げゴロンとその場にあおむけに寝っ転がるまゆこに土方は苦笑しながらその頭を撫でてやった
「お疲れさん、折角淹れてくれた茶が温くなっちまったな」
『あ、そうだった!お茶菓子も忘れてた!!!』
寝っ転がりながらそう言うが、まったく動こうとしないまゆこに土方は茶菓子の饅頭を掴むと口に押し込んでやった
『むぐぐ・・あひはほ』
「零すんじゃねェぞ」
『あい』
ゴロンと仰向けからうつ伏せに状態を変えると肘を付いてハムハムと饅頭を食べだした
「お前はハムスターかι」
ブチュと饅頭にマヨをかける土方を見てまゆこも負けじと口を開く
『私がハムスターならトシくんはマヨラー怪獣だね』
「まァ悪くねェ響きだな」
『そうなの??ι』
彼の怒りのポイントが分からんな、と思いながら饅頭を貪る
半分食べた時、土方が「そうだ」と言って部屋から出て行った、そして少しして入ってくるとその手には何やら箱を持っていた
それに首を傾げると寝っ転がっていたまゆこの前に胡坐をかいて床に箱を置いた
「出来あがったぞ」
『???』
何が?と言うより先に土方がその箱を開けた
中から出てきたのは隊長格の隊服の上着だった
『!!!!私の隊服!!!???』
「あぁ、そうだ。お前のだ」
『ェ!?これって隊長クラスのじゃないの??私みたいなのがコレ着ていいの??』
「あ?着たくねェのか??」
『いや、着たいけど!着たいんだけどね!!!入ったばっかだし、それに一応女だし・・・』
「でも原田に勝ったじゃねェか」
『・・・う、うん、そうだけど・・』
「心配すんな、これには真選組一同の了承を得てる。誰にも気を使う事なんかねェ」
『・・・・本当??』
「あぁ、それにお前は局長と副長補佐官だ。総悟よりも位は上だぞ」
『マジか!!!!』
「ほら、着て見ろ」
隊服の襟を持ち立ち上がった土方に合わせてまゆこも立ちあがると、その隊服に袖を通した
しっくりとくる少し厚めの生地
上半身に掛かるその重さにまゆこの背筋がピンと伸びた
これがこの制服の・・・刀を扱うという重み・・・
グイっと襟元を下に引っ張り、土方の方に向きなおせば、彼は満足そんな笑みを浮かべていた
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