大江戸愛情物語(完結)

□第一訓
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「まゆこ、人を斬るってどういう事か分かってるんですかィ?」


その問いにピクリとまゆこが反応する



『・・・・・・・・』


「まだ16歳の女の子がそんな覚悟背負う必要はねェでさァ」



乱暴にまゆこの頭をぐしゃぐしゃと撫でまわす沖田
でもその手は暖かく、愛情が感じられる


まゆこは少し黙ってその温もりを感じていたが、ずずっと鼻を啜ると口を開いた




『じゃぁ聞くけど・・・みんなの帰りを一人で此処で待つ私の覚悟。考えた事ある???』



その質問に思わず4人は目を見開いた



『何時も何時も私は置いてきぼりでみんなの帰りを祈って待つ事しかできない私の気持ち、みんな考えたことある???』



涙ながらに訴えるまゆこに4人は口を閉ざす










『人を斬る覚悟がなんぼのもんかなんて知らない!!でもみんなを守る覚悟はあるんだから!!!!』







何時の間にこんなに逞しく、真っ直ぐ育ってくれたのだろう?





少女の成長が、気持ちが嬉しくて、思わず笑みが零れる
近藤はそっとまゆこを抱き上げると高い高いをする様に持ち上げた




「仲間想いの良い子に育ったな?」



『そんな事言っても騙されねェぞ、クソゴリラ』


「今良い事言おうとしてんのに何でゴリラ?良い子って褒めたのに何この仕打ち」




まゆこを抱き上げたまま項垂れる近藤を余所に山崎がハンカチでまゆこの顔を拭く




「いい?俺らは何時死んでも可笑しくないんだよ?」


「それにまゆこを何時でも守れる保証もねェでさァ」


「自分の身は自分で守る。出来るか?」





近藤以外の3人がまゆこに微笑む
それにまゆこは一瞬だけ目を丸くしたがすぐ屈託のない笑顔を向けた




『はい!!!頑張ってお仕事させていただきます!!!!!!!』







こうして柏村まゆこは真選組に入隊する事が決まった


少女が16歳の誕生日に






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